scheme vergeとNTT、東京ベイエリアで次世代モビリティ実証実験

2025年9月11日、NTTアーバンソリューションズはscheme vergeと共同で、品川港南エリアを起点に次世代モビリティと舟運を組み合わせた回遊型の実証実験を行うと発表した。
東京都などが主催する「TOKYO BAY DISCOVERY JOURNEY 2025」において、10月11日から13日まで実施される。
品川港南と天王洲・お台場を結ぶ複合モビリティ実験
今回の実証は「品川港南2050プロジェクト」の一環として位置付けられ、都市の交通課題解決と魅力向上を目的に展開される。
新幹線や空港アクセスを有する品川港南エリアは一大交通拠点でありながら、駅を降りた後の移動手段が限られてきた。
そこで、NTTアーバンソリューションズとscheme vergeは、複数種類の次世代モビリティと舟運を組み合わせた新たな回遊モデルを検証する。
実験では1人乗りや複数人乗りの小型モビリティ、中型船などを組み合わせ、品川港南から天王洲・お台場へとアクセス可能なルートを設定した。
1人乗りモビリティのラインナップとしては、本田技研の座ったまま体重移動だけで移動できるモビリティ「UNI-ONE」や、トヨタの小型で扱いやすい3輪電動モビリティ「C+walk シリーズ」などが採用された。
また複数人向けとしては、ヤマハのゴルフカーベースの7人乗りモビリティ「グリーンスローモビリティ」や、eMOBiの電動トゥクトゥク、ジール社のパーティクルーザー「ジーフリート」などが提供される。
2か所のモビリティハブと1か所のモビリティポートを設置し、狭域(港南エリア)、中域(東京ベイエリア)、広域(新幹線・空港・リニア接続圏)を跨いだマルチスケールの交通結節点機能を試す。
この取り組みは、都市空間における「マルチモーダル(※)」な移動体験を実際に検証する試みであり、今後の都市再生やエリアマネジメントの新たなモデルケースとなることが期待されている。
※マルチモーダル:複数種類の交通手段を組み合わせて利用する移動方式のこと。都市内外で効率的な移動や利便性向上を狙う手法として注目されている。
都市再生の起爆剤となる一方、需要定着に課題
本実証により、観光や日常の移動に多様な選択肢を提供できれば、東京ベイエリア全体の回遊性が高まり、地域経済や文化振興に波及効果をもたらす可能性がある。
特に舟運と次世代モビリティの連動は、都市観光の新たな価値提案として国内外の来訪者を惹きつけるだろう。
一方で、実証は短期間に限られるため、恒常的な需要や採算性が検証しきれない懸念が残る。
舟運は天候や潮位に左右されやすく、安定運行の仕組みが整わなければ実用化に課題を抱える。
また、利用者が実際に定着するかどうかは料金設定や利便性、他交通機関との連携にかかっている。
NTTアーバンソリューションズは実験結果を今後の街づくりに反映させる方針を示しており、都市再生と次世代交通の両面から注目を集めるだろう。
成功すれば「品川発」の新しい都市交通モデルが全国へ波及する可能性もある。