AI企業Databricks、評価額1000億ドルで追加10億ドルを調達 100億ドルもの資金調達からわずか数ヶ月で

2025年9月8日、米AI大手Databricksは、新たに10億ドルの資金調達を完了し、企業評価額が1000億ドルを突破したと報じられた。
TechCrunchによると、年商40億ドル規模に成長する同社は、AIエージェント向けデータベース事業に投資を加速する構えだ。
Databricks、Supabase競合領域に本格参入
Databricksは2025年1月に100億ドルの大型調達(加えて50億ドルの負債調達)を行ったばかりだったが、今回さらに10億ドルを確保し、企業評価額は1000億ドル超に到達した。
ラウンドはThrive CapitalとInsight Partnersが共同で主導し、前回ラウンドと同様の構図となった。
Databricksは企業が独自のAIモデルを構築するための環境、「Data Intelligence Platform」の提供をメイン事業としている。
Databricksのアリ・ゴードシCEOはTechCrunchに対し、資金用途として、AIエージェント向けのデータベース開発を挙げたという。
オープンソースのバックエンド基盤サービスSupabaseと競う予定だ。
同氏によれば、昨年時点で全データベースの30%がAIエージェントによって生成されていたが、今年はその割合が80%に達したという。
また、Insight Partnersのマネージングディレクターであるジョン・ウルフ氏は「Databricksは年商40億ドルのARR(※)に到達するまでの過程を我々も直接見てきた」とTechCrunchに述べ、自社の投資先ポートフォリオ企業でもDatabricks導入が急増している事実を強調した。
大規模顧客基盤と安定的な収益構造が、投資家の評価を支えている。
※ARR(Annual Recurring Revenue):サブスクリプション型ビジネスにおける年間経常収益の指標。継続課金収入の安定性を示す。
AI主導のデータ活用拡大 投資加速の追い風とリスク
今回の調達で注目されるのは、データベース分野でのAI活用が人間主体からAI主体へと急速にシフトしている点である。
従来は人間の設計・運用に依存していた領域で、AIエージェントが自律的にデータ構造を生成する割合が急上昇しており、その需要を先取りする狙いだと考えられる。
企業がAI開発や自律エージェント運用の基盤をDatabricksに委ねることで、データ処理効率や開発スピードが飛躍的に向上する可能性がある。
特にWeb3や生成AI市場では、膨大なリアルタイムデータを扱う企業にとって競争力の源泉となり得る。
一方で、評価額1000億ドルに達した企業は高成長期待を背負うが、AI市場の変動や規制強化によって収益化のスピードが鈍れば、投資家の期待が逆風となる恐れもある。
さらに、AIエージェントが生成するデータベースの透明性やセキュリティをどう担保するかは今後の大きな課題になるだろう。
投資家の支持を背景にDatabricksが新市場を切り開くか、あるいは過大評価への懸念が表面化するか。今回の資金調達は、AI産業における「次の成長軌道」を測る試金石となりうる。
Databricks ニュースリリース:https://www.databricks.com/company/newsroom/press-releases/databricks-surpasses-4b-revenue-run-rate-exceeding-1b-ai-revenue
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https://plus-web3.com/media/20250123_databricks/