楽天インサイト、AI分析ツール「楽楽リサーチャー」提供開始 調査後の負担軽減へ

2025年9月4日、楽天グループの楽天インサイトは、アンケート調査結果の分析をAIが支援する新ツール「楽楽リサーチャー」の提供を始めたと発表した。
企業や団体が依頼したインターネット調査のデータを基に、AIアシスタントが自動で分析コメントやサマリを生成する。
AIが調査データを即時分析 「Ai」と「Shin」の2人格を用意
楽天インサイトが発表した「楽楽リサーチャー」は、依頼元の企業や団体が実施したインターネット調査の集計データを取り込み、AIアシスタントが設問ごとの分析コメントと調査結果のサマリを自動生成する仕組みである。
利用者は調査の目的や注目点を指定するだけで、短時間で分析結果を得られる点が特徴である。
このAIアシスタントには、フラットにデータを評価して結論を導く「Ai(アイ)」と、ストーリー構築を重視してスコアを中心に分析する「Shin(シン)」の2種類の人格が搭載されている。
利用者は目的に応じてどちらかを選び、必要に応じて追加指示を与えることで、より精度の高い分析に修正することも可能だ。
これまでインターネット調査の結果分析は、専門リサーチャーの経験に依存する部分が大きく、企業が独自に行う場合には時間と労力がかかっていた。
「楽楽リサーチャー」はそのプロセスを大幅に効率化することを目指しており、リサーチャーの監修のもとで開発された。
依頼企業や団体は過去の調査データを含めて無料で利用できる点も、導入のハードルを下げる要素となっている。
リサーチ効率化の追い風 精度向上と人材活用に波及も
「楽楽リサーチャー」が普及すれば、調査後のデータ分析にかかるコストや人員負担が大幅に減少することが期待される。
とりわけマーケティング部門を持たない中小企業や、短期間で複数調査を実施する必要のある団体にとって、効率化の効果は大きいと考えられる。
AIが基礎的な分析を担うことで、リサーチャーや担当者は戦略立案や意思決定に集中できるようになる可能性がある。
一方で、AIによる分析にはリスクも残る。
AIが導き出すコメントやサマリは、指示内容やデータの偏りによって解釈に揺らぎが生じる場合がある。また、AI分析に依存しすぎることで、人間のリサーチャーが持つ洞察力や文脈解釈力の重要性が軽視される懸念もある。
そのため、利用者は結果を盲信せず、適切に検証・補正を加える体制を整えることが不可欠となるだろう。
とはいえ、データ活用の高度化が進む現代において、AIによる分析支援は不可避の流れだと考えられる。
今後は、ユーザー企業がAIの利便性とリスクをどうバランスさせるかが焦点になるだろう。
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