中国DeepSeek、年内に新AIエージェント公開と報道 米OpenAIに対抗し自律型技術を強化か

2025年9月4日、ブルームバーグは中国AIスタートアップのDeepSeekが年内に新型AIエージェントを発表する計画を進めていると報じた。
米OpenAIをはじめとする米国勢に対抗する動きで、同社は自律的に学習・改善するモデルの構築を急いでいるという。
DeepSeek、新モデルで複数工程を自律実行可能に
中国の人工知能スタートアップDeepSeek(ディープシーク)が、より高度なAIエージェント(※)機能を備えた新モデルの開発を進めていることが明らかになった。
事情に詳しい関係者によれば、このモデルはユーザーから最小限の指示を受けるだけで複数の作業工程を自動的に遂行できる設計で、過去の行動を参照しながら自ら改善していく能力も備えるという。
創業者の梁文鋒氏は、開発チームに対し2025年10〜12月期の公開を目標にするよう指示しているとのことだ。
関係者は非公開情報であることを理由に匿名を条件に語っており、DeepSeekに対してブルームバーグは複数回の問い合わせを行ったが、返答はなかったという。
DeepSeekは今年1月、数百万ドル規模の開発費を投じて「R1」を発表した。
人間の推論プロセスを模倣することを特徴とした同モデルは世界のAI業界に衝撃を与え、中国発スタートアップとして一躍注目を集めた。
しかしその後の動きは限定的で、小規模な改良の発表にとどまっていた。
このため、新たに投入されるAIエージェント型モデルは、同社が存在感を取り戻し、米国の大手企業との競争を加速させる切り札になる可能性があると見られる。
※AIエージェント:ユーザーの指示を受けて複数の作業を自律的に実行し、学習や改善を繰り返す人工知能システム。従来の単一タスク型AIと異なり、状況に応じた意思決定やプロセス管理が可能とされる。
米中競争が過熱、AI市場の勢力図に変化も
DeepSeekの動きは、AIエージェント分野での米中競争の激化を象徴するものだ。OpenAIはすでにコード生成や自律型エージェントの実用化で先行し、AnthropicやGoogle DeepMindも独自の技術投入を加速している。
一方で、中国企業の台頭は国内市場の巨大需要に加え、政府の産業支援を背景とするものであり、短期間で国際的な存在感を拡大する可能性を秘めている。
新モデルが予定通り公開されれば、DeepSeekは自律型AIにおける重要なプレーヤーとして再び注目を浴びることになるだろう。
特に、エージェント機能の高度化はビジネスアプリケーションや研究開発支援など幅広い分野に波及する可能性が高い。
一方で、自律的な意思決定が、倫理的リスクや制御困難を招く懸念も拭えない。
また、安全性や透明性を欠いたまま普及が進めば国際社会全体でリスクを共有することになる危険もあるだろう。
米国と中国の企業が互いに競争することで技術革新が加速するとの見方もあり、今後DeepSeekの年内発表が実現すれば、AI市場の勢力図に少なからぬ影響を及ぼすと考えられる。
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https://plus-web3.com/media/20250121_deepseek-r1/