OKXに225万ユーロの罰金 オランダ国立銀行がMiCA施行前の登録違反を指摘

2025年9月3日、オランダ国立銀行(DNB)は暗号資産取引所OKXに対し、225万ユーロ(約3億9,000万円)の罰金を科したと発表した。
背景には、MiCA施行前に必要だった国内登録を怠り、規制違反状態で営業していた事実がある。
OKX、登録未提出で225万ユーロの制裁金
DNBによれば、OKXを運営するオー・カイ・フィンテック(Aux Cayes Fintech)は2023年7月から2024年8月の間、オランダでの暗号資産サービスを提供しながらも登録義務を履行しなかった。
この期間は欧州連合(EU)の包括的規制「MiCA(※)」が2024年12月に施行されるより前に当たり、既存のマネーロンダリング防止規則(WWFT)に基づきDNBへの登録が義務付けられていた。
オランダは2020年から暗号資産関連企業に厳格な登録制度を適用してきた。
マネーロンダリングやテロ資金供与対策を徹底する狙いがあり、未登録での事業運営は重大な違反と見なされる。
今回の罰金は、MiCA発効直前まで続いたこの違反に対する措置とされる。
今回のケースは、欧州における規制移行期のリスクを浮き彫りにする。
DNBは過去にもCrypto.comやKrakenに数百万ユーロ規模の罰金を科しており、バイナンスは規制環境を理由にオランダ市場から撤退した。
各国当局がすでに厳しい姿勢を見せてきたなかで、今回の制裁は他の事業者にとっても警告と受け止められるだろう。
※MiCA(暗号資産市場規制法):欧州連合が2024年12月に施行した暗号資産の包括的規制枠組み。暗号資産サービスプロバイダーに対し、ライセンス取得や消費者保護を義務付ける。
MiCA施行で規制統一へ 事業者に透明性とコストの課題
OKXへの225万ユーロの罰金は、規制当局が暗号資産市場に対して明確なシグナルと見なされる。
MiCA施行前から既存規制が適用されることを強調し、マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐ制度的基盤を補強したと評価できる。
投資家や利用者にとっては、透明性と安全性が高まる方向性を示す材料となり、結果的に市場の信頼性強化につながることが期待できるだろう。
一方で、デメリットも顕著である。
移行期における規制の不整合が企業活動を阻害し、国際事業者にとって市場参入コストを大きく引き上げることになった。
バイナンスが撤退したように、オランダ市場がグローバルプレイヤーにとって魅力を失い、競争が縮小するリスクが現実化している。
さらに、規制が過度に厳格に運用されることで、イノベーションの芽を摘む恐れも否定できない。
今後は、MiCAが欧州全域で施行されたことで、各国独自の制度とEU包括規制の整合性が試される局面に入るだろう。
オランダのように従来から厳格な制度を運用してきた国は、引き続き規制の「模範事例」として注目される一方、過度な制裁が市場縮小につながる懸念を抱える可能性がある。