米FRB、ステーブルコインやDeFi議論へ 10月に決済イノベーション会議開催

2025年9月3日、米連邦準備理事会(FRB)は、ステーブルコインや分散型金融(DeFi)を含む決済イノベーションを議題とする会議を10月21日に開催すると発表した。
会議はオンラインで一般公開される予定だ。
ステーブルコイン活用やAI決済を議題に多角的討論
FRBは10月21日(米国時間)、決済分野の革新を主題とした決済イノベーション会議を開催する。
会議は連邦準備制度の公式サイトでライブ配信され、幅広い関係者が参加予定だ。
同会議では、従来の金融システムと分散型金融の交差点が主要なテーマに据えられる。
新たなステーブルコインの活用事例やビジネスモデル、人工知能(AI)と決済インフラの統合、さらには金融商品・サービスのトークン化(※)といった課題が討論される見通しである。
理事のクリストファー・J・ウォーラー氏は「イノベーションは決済において常に存在し、消費者と企業の変化するニーズに対応してきた」と語り、今回の会議が安全性と効率性を高めるアイデアを結集する場になると強調した。
背景には、米国における規制姿勢の変化がある。トランプ政権下で銀行による仮想通貨関連活動への制約が緩和され、ステーブルコインを巡る実務上の障壁は後退した。
今年4月には銀行の暗号資産活動に関する制限指針が撤回された。7月のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録でも、法定通貨連動トークンが決済効率を高める可能性が示唆されている。
こうした流れが今回の議題設定に直結していると言える。
※トークン化:株式や不動産などの実物資産や金融商品を、ブロックチェーン上で取引可能なデジタルトークンとして表現する技術。
決済革命の行方 金融効率化か規制強化か
今回の会議は、米国における決済の未来を左右する可能性を秘めている。ステーブルコインの活用が進めば、国際送金や決済の即時性が飛躍的に向上し、従来型金融機関のコスト削減にもつながると期待される。
一方で、利用規模の拡大はシステミックリスクの増大を伴い、金融当局の規制枠組みが再設計される可能性も否定できない。
特に注目されるのは、米国債市場への影響である。
FOMC議事録で示されたように、法定通貨連動トークンは裏付け資産として国債需要を押し上げる要因となり得る。これは金融政策の伝達メカニズムにも波及するため、FRB自身が慎重な検討を迫られることになる。
また、AIを組み込んだ決済システムは利便性と効率性を高める一方、アルゴリズム偏重やサイバーリスクといった新たな課題を生み出す。金融インフラの基盤強化とセキュリティ対策の両立が不可欠となるだろう。
今回の討論は単なる学術的議論にとどまらず、米国における規制当局と産業界の距離感を測る試金石になると考えられる。今後、規制緩和が進めばWeb3分野にとって追い風となるが、同時に強固な規制案が浮上する可能性も高い。
市場関係者は、FRBの議論の行方を注視せざるを得ない状況である。
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