全国初、葛飾区が窓口に音声認識AI導入へ 職員対応を支援し業務効率化狙う

2025年9月3日、東京都葛飾区は全国で初めて、区役所窓口に音声認識AIを活用した支援システムを導入すると発表した。
区民の質問にAIが条例や規程を参照して回答を提示し、職員の負担軽減とトラブル防止に寄与することが期待される。
葛飾区、AIが窓口会話を解析し即時回答提示へ
葛飾区が導入を決めたのは、窓口でのやり取りをAIがリアルタイムで認識し、住民の質問に適した回答を生成するシステムである。
AIは区の条例や関連文書を参照し、出典を明示した上で回答を示す。これにより、職員が資料を探す作業をサポートし、窓口対応の迅速化につなげる狙いだ。
会見で青木克徳区長は、「(職員は)全てについてもちろんある程度勉強しながらレベルを高めているが、それでも、後ろを向いて他の人に聞いたり相談しながら(業務をしているのが現状)。それをこのAIでかなり的確に答えが出せれば、スピードアップが図れる」と期待を語った。
導入はまず区役所で検証を行い、2026年4月から区民事務所へ本格設置する計画である。
自治体窓口のAI活用拡大か 効率化とリスク管理の両面注視
今回の葛飾区の導入は、自治体のDX推進における象徴的な動きとなりうる。
窓口業務は住民生活に直結する領域であるため、AIが職員を補完する仕組みが実用化されれば、他自治体でも追随の動きが広がる可能性が高い。
少子高齢化で人材不足が進む中、業務効率化への期待は大きいだろう。
一方で、AIの回答精度や情報更新の遅れが誤解を招くリスクも無視できない。
条例改正や制度変更にシステムが即応できなければ、誤案内が発生する恐れがある。また、窓口対応は住民の不安解消や相談の場でもあるため、AIに依存しすぎれば人間的な配慮が欠落する懸念も残る。
そのため、今後もAIを「代替」ではなく「補助」として位置づけ、職員が最終確認を担う運用が不可欠になるだろう。
葛飾区の試みは、自治体がどのようにAIと人の役割分担を設計するかを示す実験台となり、全国の行政サービスの未来像に大きな影響を与える可能性がある。
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