リブワークとアステリア、NFT住宅基盤開発で提携 JPYC決済の導入計画も

2025年9月1日、熊本県のリブワークと東京のアステリアが、NFT基盤開発で提携し、「住宅資産デジタルプラットフォーム」の構築に着手すると発表した。
両社は併せて、日本円建てステーブルコインJPYCによる住宅決済の仕組みも導入する計画を明らかにした。
3Dプリンター住宅の資産管理にNFTとJPYC決済を導入
今回の提携は、住宅建築を手掛けるリブワークとソフトウェア大手アステリアが連携し、3Dプリンター住宅の資産管理基盤をNFT技術で強化するものだ。設計図書や施工データ、補修履歴をNFT化し、改ざん防止と真正性の担保を実現する構想が示された。
背景には急拡大する3Dプリンター住宅市場がある。
リブワークの試算では2034年に約221兆円規模に達するとされるが、設計図書の不正複製や補修履歴の評価反映不足といった課題が存在する。
両社はこれらの問題を解決するために、住宅資産のライフサイクル管理を透明化する仕組みを整備する方針だ。
また、住宅購入や施工費の支払い手段としてJPYC(※)を導入することも計画されている。これにはアステリアのデータ連携基盤「ASTERIA Warp」を採用するとのことだ。
将来的にはUSDTやUSDCなど国際的なステーブルコインの導入も検討されている。
アステリアは先月、JPYCの決済データをノーコードで連携する「ASTERIA Warp」専用の「JPYCアダプター」を開発すると発表しており、今回のJPYCでの住宅支払いの取り組みには同ツールが利用されるとみられる。
リブワークは2040年までに累計1万棟の3Dプリンター住宅着工を掲げ、今回の基盤整備をその布石と位置付ける。フランチャイズやライセンス展開を通じて、住宅業界における新たなスケールモデルの確立を目指す方針も示している。
※JPYC:日本円と1:1で連動する国内初の電子決済手段(ステーブルコイン)。資金決済法に基づく第二種資金移動業として認可されている。
住宅資産のNFT化がもたらす利点と制度的リスク
今回の取り組みは、住宅市場にデジタル資産管理を導入することで、設計から保守までの履歴を一元的に追跡できる点が大きなメリットになる。
従来曖昧になりがちだった住宅資産の評価に透明性を与えることで、資産価値の担保や二次取引市場の活性化につながる可能性がある。
さらに、JPYCをはじめとするステーブルコイン決済の導入は、住宅購入という高額取引に新しい利便性をもたらす。
資金移動コストを抑えられるほか、ブロックチェーン上で即時かつ安全に取引を完結できる点は、従来の金融インフラに依存しない新たな選択肢となるだろう。
一方で、NFTや暗号資産を基盤とするシステムには規制の変化や技術的リスクが常に伴う。
特に住宅のような生活基盤に関わる領域では、制度設計やセキュリティ対応を誤れば利用者の信頼を失うリスクが存在する。
さらに、国際取引対応として海外ステーブルコインを導入する構想は、新たな市場開拓の可能性を広げる一方で、為替リスクや国際的な法制度の不一致といった課題も残る。
住宅DXの先駆けとなる取り組みであるが、その実装には長期的な信頼構築と制度整備が不可欠と言える。
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