コインベース、デリバティブ新商品を発表 仮想通貨と株式の複合指数先物

2025年9月2日、米国の仮想通貨取引所大手コインベースは、株式と仮想通貨を組み合わせた新たなデリバティブ商品「Mag7+クリプト・エクイティ指数先物」を発表した。
取引開始は9月22日で、米国で初めて複合エクスポージャーを提供する先物となる。
テック株と仮想通貨を均等配分 複合先物が誕生
新たに導入される「Mag7+クリプト・エクイティ指数先物」は、米主要テック株7銘柄、いわゆる「マグニフィセント7(Mag7)」に加え、コインベース株、ブラックロックが提供するビットコインETF「IBIT」、イーサリアムETF「ETHA」で構成される。
アップルやマイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、メタ、テスラといった米国市場をけん引する企業群に、暗号資産関連銘柄を組み合わせた構成だ。
構成要素はすべて10%ずつの均等配分で設計されており、四半期ごとにリバランスが実施される。これにより、特定の銘柄や資産クラスに依存しない安定的なエクスポージャーを提供する仕組みとなる。
従来の株式指数や暗号資産ETFとは異なり、異なる資産クラスを横断する点が最大の特徴である。
コインベースデリバティブは、従来の金融商品と仮想通貨への二重エクスポージャーを求める投資家需要の増加を背景に本商品を開発したと説明する。
同社は、単一資産商品を超えた米国デリバティブプラットフォームの多様化を初めて実現し、イノベーションと成長資産への包括的アクセスを提供する狙いを示している。
米国市場ではこれまで、単一資産ごとに区分されたデリバティブ商品(※)が中心であり、株式と仮想通貨を包括する仕組みは存在しなかった。
今回の発表はその意味で、市場拡張に向けた画期的な動きといえる。
コインベースが新商品を投入する背景には、同社の事業環境の変化がある。
2025年第2四半期決算では、現物取引量と収益の減少が報告され、収益基盤の多角化が急務となっていた。今回の複合先物は、同社が模索する成長戦略の一環であり、従来型の取引から新しい金融商品へのシフトを加速させるものと位置づけられる。
また同社は、予測市場や分散型取引所(DEX)の統合など、新たな分野への進出を積極的に進めており、金融と暗号資産の融合という大きな潮流をリードする姿勢を鮮明にしている。
※デリバティブ商品:株式や債券、通貨、商品などの原資産から派生した金融契約。価格変動リスクをヘッジする手段や投機対象として利用される。
今後の展望、投資家需要と規制動向が鍵か
本件における投資家にとっての利点は、ハイテク株と仮想通貨という成長領域を同時にカバーできる点にあると考えられる。特に分散投資の観点から、リスクヘッジと成長機会を兼ね備える商品として評価される可能性は高い。
一方で、株式市場と暗号資産市場の双方のボラティリティが組み合わさるため、価格変動リスクは従来以上に大きくなる懸念も拭えない。
さらに、米国におけるデリバティブ規制の動向も無視できない。
証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)がどのような監督方針を取るかによって、投資家の参加ハードルが変わる可能性がある。規制環境の安定が進めば、機関投資家の利用拡大にもつながるだろう。
今回の新指数先物は、収益基盤強化と市場拡張の双方を狙う取り組みといえる。











