仮想通貨取引所Gemini、IPO詳細を発表 ナスダック上場へ向け動き加速

2025年9月2日、米国の仮想通貨取引所大手ジェミナイ・スペース・ステーションが新規株式公開(IPO)の詳細を公表した。
SECにS-1登録届出書を提出し、ナスダック市場での上場を目指す動きが明らかになった。
ジェミナイ、約1,666万株を公開へ 主幹事はゴールドマンとシティグループ
ジェミナイ(Gemini)は今回のIPOでクラスA普通株1,666万6,667株を公開する計画を明らかにした。IPO価格は1株あたり17〜19ドルの範囲で設定される見込みで、引受業者には約250万株の追加購入オプションが与えられる。
同社は「GEMI」というティッカーシンボルで、ナスダック・グローバル・セレクト・マーケットへ上場を申請している。
引受業務はゴールドマン・サックスとシティグループが主幹事を務め、モルガン・スタンレーやキャンターも参加する。
さらにエバーコアISI、みずほ、トルーイスト証券など幅広い金融機関が関与し、大型IPOにふさわしい体制が組まれている。
ただし、現在はS-1登録届出書(※)がSECで審査中の段階にあり、効力発生前に証券の販売や購入申込を受け付けることは法律で禁止されている。同社もIPO条件や完了時期は市場環境に応じて変更される可能性があると説明しており、最終的な規模は不透明だ。
ジェミナイは2014年に設立され、規制遵守を重視した運営姿勢で知られる。米国での法令適合を前面に掲げてきた点が他の取引所との差別化要因とされ、今回のIPOも投資家の信頼確保に向けた一環と位置づけられる。
※S-1登録届出書:米証券取引委員会(SEC)に提出する新規株式公開のための申請書類。事業内容や財務情報を詳細に記載し、投資家に情報開示する役割を持つ。
仮想通貨企業の上場加速 投資家に機会とリスク
ジェミナイのIPOは、2025年に入って相次ぐ暗号資産関連企業の株式公開の流れをさらに後押しする動きだ。
直近ではステーブルコイン発行で知られるサークルや、取引所ブリッシュが市場に登場しており、仮想通貨業界の資本市場での存在感が一段と高まっている。
この動きのメリットは明確である。
まず、透明性が求められる上場企業としての体制整備が進むことで、投資家の信頼を獲得しやすくなる。また、IPOによる資金調達を通じて新規サービスや国際展開への投資余力が拡大し、競争優位を確保できる可能性もある。
一方で、リスクも無視できない。仮想通貨市場は依然として価格変動が激しく、規制環境も流動的である。特に米国ではSECと取引所の対立が繰り返されており、規制強化が進めば収益モデルに影響を及ぼす恐れがある。
さらに、IPO後は株価のボラティリティが高まることが予想され、短期的な値動きに投資家が翻弄される可能性も残る。
ジェミナイの上場は、2025年以降の仮想通貨業界全体にとって一つの試金石になるとみられる。投資家にとっては新たな選択肢が広がる一方で、業界全体の健全性や規制適合性が厳しく問われる時代に入ったとも言える。
今後、業界全体に波及するインパクトを持つだけに、その成否が注目される展開だと言える。
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