東京都、中小宇宙企業に最大1億円助成 衛星データ活用は2000万円まで

2025年8月31日、東京都中小企業振興公社は都内中小企業やスタートアップ向けに、宇宙製品開発や衛星データ利活用サービスの開発を支援する助成制度を新設したと発表した。
申請期間は9月19日から10月10日までである。
都内中小企業の宇宙開発支援 機器・データ両面で助成
東京都中小企業振興公社は「航空宇宙産業への参入支援事業 宇宙製品等開発経費助成」を新設し、都内中小企業やスタートアップの宇宙機器やデータ利活用サービスの開発を支援する。
この助成は新規開発・改良開発の両方に対応しており、月1回程度の連携コーディネータによるハンズオン支援も提供される。
「機器開発助成」では、ロケットや人工衛星、探査機、地上設備などの機器開発に加え、制御ソフトや周辺部品などの研究開発も対象となる。
助成期間は2026年2月1日から最長2029年1月31日までで、限度額は1億円(下限1500万円)、助成率は経費の3分の2以内に設定される。
一方、衛星データ利活用向けの「ソリューション開発助成」は、農業や環境モニタリング、災害予測、解析サービスなどの新規開発や改良を対象とする。
期間は2026年2月1日から最長2027年10月31日までで、限度額は2000万円(下限なし)、助成率は同じく経費の3分の2以内だ。
助成対象者は都内で事業を行う中小企業者や創業予定者に限定される。対象経費は原材料費、人件費、専門家指導費、産業財産権取得費、展示会出展費など幅広く認められており、開発の初期投資負担を軽減する設計になっている。
助成制度で産業波及と競争力向上の可能性
今回の助成制度により、都内中小企業やスタートアップは宇宙製品や衛星データ利活用サービスへの参入が容易になる。最大1億円の資金支援と専門家のハンズオン支援により、研究開発から事業化までの期間短縮や効率化が期待できる。
衛星データ活用助成は、農業や環境、災害予測など多分野でのサービス開発を促進する効果がある。新規参入によって、既存産業と宇宙産業の接続が生まれ、技術革新の波及効果も見込まれる。
一方で、助成金の規模や支援期間には限度があり、開発コストの高いプロジェクトでは自己資金の確保が依然重要である。資金依存が過度に高まると、事業の持続性や自律的成長に影響する可能性もある。
長期的には、都内中小企業の宇宙産業参入が国内競争力の向上や新市場創出につながることが期待される。都市型スタートアップの技術力集積が、世界市場での存在感強化や関連産業の成長を後押しする契機になるだろう。
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000034524.html
東京都中小企業振興公社 宇宙製品等開発経費助成事業:https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/uchu-josei/index.html