静岡県が道路パトロールにAIカメラ試験導入 人材不足解消と点検精度向上を狙う

2025年8月28日、静岡県は県管理道路のパトロール業務にAIカメラを搭載した点検システムの試験導入を25日より開始したことを踏まえ、富士市で説明会と試乗体験を実施した。
2026年度以降の本格導入を見据えた検証が始まっている。
AIカメラで路面損傷を自動検知、7拠点で運用開始
静岡県は、県内の道路パトロール車11台にAIカメラを設置し、路面点検の試験運用を始めた。
導入されたのはニチレキ(東京都千代田区)が開発した「GLOCAL-EYES(グローカルアイズ)」で、スマートフォンを用いて路面のひび割れや段差を撮影し、AI画像解析で損傷を自動的に検出する仕組みだ。
この試みは、熱海・下田・沼津・富士・島田・袋井・浜松の7カ所の土木事務所が対象で、従来の目視中心の点検と並行して実施される。
県の担当者は「デジタル技術の向上や人材不足の解消、陥没・ポットホールによる事故など背景に試験導入を開始した」と説明した。
GLOCAL-EYESは観測と同時に記録簿の作成も行えるため、事務作業の負担軽減にもつながることが期待される。
これにより、道路維持管理の効率化と作業員の省力化を同時に実現できる可能性がある。
今後は試験運用を通じ、実際の効果や精度を検証した上で、2026年度以降に本格導入を検討していく方針だ。
静岡県AIカメラ導入 道路維持管理の新局面
静岡県が道路パトロールにAIカメラを試験導入したことは、人材不足や事故防止といった社会課題に応える挑戦といえる。
従来の目視中心の点検では限界があり、作業員の負担が大きいだけでなく、陥没やポットホールを見落とすリスクもあった。
AIカメラ「GLOCAL-EYES」を活用すれば、スマートフォンで撮影した映像から自動的に損傷を検出でき、同時に記録簿を作成するため、点検から事務処理まで効率化が図られる利点がある。
これは作業の精度とスピードを両立し、現場の省力化に直結すると考えられる。
一方で、AI解析が現場の多様な状況にどこまで対応できるかは未知数であり、精度検証が欠かせない。
特に従来手法との並行実施で信頼性を確認する段階にあるため、過信は禁物だといえる。また、機器の導入・維持に伴うコストや、操作に習熟するまでの負担も課題として残るだろう。
今後、実証で精度が確認されれば、県全体の道路管理の高度化につながる可能性が高い。AI活用による安全性と効率性の両立が示されれば、全国的な導入拡大にも波及するのではないだろうか。