商標登録を低コストで支援 GVA TECHが「GVA 商標登録」正式版を提供開始

2025年8月27日、リーガルテック企業のGVA TECH株式会社(東京)は、商標登録の検索と出願書類作成をサポートするオンラインサービス「GVA 商標登録」の正式提供を開始した。
2025年5月のβ版提供から4カ月間の改善を経てのローンチであり、ユーザーは専門家に依頼せずに低コストで出願可能になる。
商標検索と書類作成を支援する正式サービス始動
GVA TECHが展開する「GVA 商標登録」は、出願希望の商標がすでに登録済みかどうかを検索できるとともに、出願に必要な書類を自動で生成するサービスである。
ユーザーは作成した書類をダウンロードし、印刷・郵送すれば出願が可能になる仕組みだ。
手続き自体は自身で行う必要があるものの、弁理士への依頼に比べ費用を抑えられるのが特徴だ。
同サービスのポイントは三つある。
第一に、同一または類似商標の検索機能により、重複リスクを事前に把握できる点だ。
第二に、専門知識がなくてもガイドに従って入力するだけで必要書類を作成できる点がある。
第三に、出願区分数が増えても作成費用が定額であるため、複数区分を対象とする場合にコストメリットが大きい。
ただし「GVA 商標登録」は出願手続きの代行や内容相談は行わない。
ユーザー自身で一定の作業を担うことが前提であり、あくまで手続き効率化の補助ツールに位置づけられている。
正式版ではβ版の利用者からのフィードバックを反映し、三つの機能追加が行われた。
まず、商品・役務名をフリーワードで検索できる機能を搭載し、複数項目を効率的に選べるようになった。
次に、選択可能な商品・役務名を従来の約800から約95,000へ大幅拡充し、国際分類表や審査で用いられた名称もカバーする仕様となった。
さらに、印刷や特許印紙の購入をサポートする「らくらく出願サポートプラン」を提供し、郵送準備の負担軽減を実現している。
商標出願の効率化進むも、自己責任リスクも残る
今回の正式提供により、中小企業やスタートアップにとって商標出願のハードルは大きく下がると考えられる。
専門家に依頼するコストを削減できるうえ、検索機能や定額制により、複数商標を扱う企業にとっても利便性が高い。
特にブランドを素早く確立したい新興企業には有力な選択肢となるだろう。
一方で、注意すべき点もある。
代行や相談を提供しない仕組み上、ユーザーが誤った区分を選択したり、先行商標との衝突を見落とした場合、審査で拒絶されるリスクが残る。その結果、時間や費用が無駄になる可能性も否定できない。
また、商標出願は事業戦略と密接に関わるため、サービスの活用には適切な判断力が求められる。
簡便さと低コストを優先するあまり、将来的なブランド保護に不備が生じる懸念もある。
それでも、こうしたリスクを理解した上で利用すれば、商標登録の民主化を推進するサービスとして評価できる。
今後は、ユーザー教育や補足的な情報提供を通じて、自己責任リスクをいかに軽減できるかが普及の鍵となるだろう。
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