ジェミナイ、英国でETHとSOLのステーキングサービスを開始

2025年8月25日、米暗号資産取引所ジェミナイ(Gemini)は、英国ユーザー向けにイーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)のステーキングサービスを提供開始したと発表した。
最低額制限なしで日次報酬が得られ、英国市場での利用機会が拡大する動きである。
英国ユーザーがETH・SOLを自由にステーキング可能に
ジェミナイはアプリとウェブ版を通じて、ユーザーが任意の数量のETHとSOLをステーキング(※)できる仕組みを導入した。報酬体系はソラナが最大で年率6%(APR)とされ、イーサリアムは変動利率で配分される。
付与報酬からは25%の手数料が差し引かれ、ジェミナイ側がガス代などの運用コストに充当するとしている。報酬は日次で累積され、複利的に増加する設計となる。
これまでも英国ユーザーは「ジェミナイステーキングプロ(Gemini Staking Pro)」を利用してETHのステーキングを行うことができたが、最低32ETHが必要という制約があった。
今回の新サービスでは最低額の条件が撤廃され、小口投資家にとっても参加しやすい形に改められている。
サービス開始の背景には、英国での暗号資産需要拡大とステーキング市場の競争激化がある。ジェミナイはウィンクルボス兄弟が運営する信頼性の高い取引所であり、英国市場における顧客獲得を狙う戦略的展開といえる。
※ステーキング:暗号資産を一定期間ブロックチェーン上で預け入れ、その対価として報酬を得る仕組み。PoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用するネットワークで用いられる。
投資家層拡大と規制対応の両立 収益構造の進化が焦点に
ジェミナイのステーキングサービス拡充は、英国をはじめとした欧州市場での顧客獲得競争において大きな意味を持つ。
最低額の撤廃と報酬の日次反映により、投資初心者や小規模運用層でも参入しやすくなり、利用者層の多様化と業界全体の裾野拡大につながる可能性がある。
一方、報酬の25%を手数料として徴収する仕組みは、コスト面の負担を意識させる要素となる。競合他社は手数料や報酬計算で差別化を図っており、ジェミナイが顧客信頼をどう確保するかが注目される。
また、英国では暗号資産取引所への規制強化が進む中、ジェミナイのサービス拡充は、当局対応の整備を同時並行で進めていることを示唆している。
特にAML(マネーロンダリング対策)やカストディサービスの透明性確保が重要視されるため、利用者獲得とコンプライアンスの両立は取引所の成長戦略の核心になる。
市場全体でステーキングは暗号資産の保有動機を高める重要な仕組みであり、これを軸にしたサービス拡充は業界の競争環境を再構築する契機となり得る。
ジェミナイの英国市場での動きは、暗号資産エコシステムにおける収益モデルの進化を示す好例と言えるだろう。
ジェミナイ ブログ記事:https://www.gemini.com/en-SG/blog/introducing-ethereum-and-solana-staking-for-uk-customers