イーロン・マスク氏のXとxAI、アップルとオープンAIを米国で提訴　対話型AI市場の独占を主張

2025年8月25日、米国のイーロン・マスク氏率いるXとxAIが、アップルとオープンAIをテキサス州連邦地裁に提訴した。両社の提携が対話型AI市場を不当に独占していると訴え、差し止めと損害賠償を求めている。

XとxAI、アップルとオープンAIを提訴　チャットGPTの独占を批判

イーロン・マスク氏が率いるXとxAIは、アップルとオープンAIが行った提携により、対話型AI市場で不公平な独占が進んだと主張している。
訴状によれば、2024年6月の発表以降、iPhoneの生成AI機能に「チャットGPT」が統合されたことで市場シェアが80％を超えたという。

一方で、xAIが開発した対話型AI「グロック」は伸び悩み、同社の期待を裏切る結果となった。特にアプリストアでのランキングにおいて、チャットGPTが優遇される一方で、グロックは不当に低い扱いを受けたと指摘している。

XとxAIは「両社の不当行為がなければ、XとxAIのアプリはより広く利用され、多くの収益を生み出し、イノベーションを加速させていた」と主張している。
この停滞は、Xが展開する広告収入モデルにも影響しているとみられ、経営上の打撃が大きいと思われる。

現在、iPhoneの利用者は10億人を超えており、チャットGPTの週間利用者は2025年8月に7億人を突破した。対話型AIとしてiPhoneに直接統合されているのはチャットGPTのみであり、マスク氏が長年批判してきた「不公平な優位性」が一層鮮明になった。

AI独占訴訟が呼ぶ波紋　競争促進の可能性と市場分断のリスク

今回の提訴は、AI市場の公正性をめぐる議論を加速させる可能性がある。
もしXとxAIの主張が認められれば、アップルやオープンAIの優位性に制限がかかり、競争環境が整うことが期待される。競合他社が市場に参入しやすくなれば、技術革新が多方面で進む可能性が高い。

一方で、独占禁止訴訟が長期化すれば、業界の不確実性が増し、企業投資にブレーキをかける恐れもある。特にスマートフォン市場の巨大なユーザー基盤を握るアップルに制約がかかれば、開発者エコシステム全体への影響が懸念される。

利用者にとってのメリットは選択肢の拡大であろう。
グロックのような新興AIが公平な条件で普及すれば、利用環境の多様化が進み、価格やサービス品質の面で競争が働くと考えられる。これは長期的にユーザー利益を高める要因となりうる。

ただし、市場が二極化すれば、利用者体験が分断される可能性も否定できない。
また、特定のプラットフォーム依存が強まれば、互換性や統合面でも不便が生じかねない。
今後の訴訟の帰結次第で、AI業界の競争秩序は大きく変わることになるだろう。

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