TICAD9閉幕、日本とアフリカがAI活用経済支援「横浜宣言」採択

2025年8月22日、横浜市で開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)は、成果文書「横浜宣言」を採択し閉幕した。
日本とアフリカの相互利益を掲げ、AIやロボット工学を含む先端技術の活用を通じた経済支援が明確に打ち出された。
AIと先端技術を軸に日本とアフリカが協力拡大
横浜市で20日から開催されていたTICAD9は22日に閉幕し、日本とアフリカの協力を示す「横浜宣言」が採択された。
宣言は「経済」「社会」「平和と安定」の三本柱を掲げ、その中でAI(人工知能)やロボット工学といった先端技術の導入支援を強調した。
特に「安全で信頼できるAIの推進」に言及し、国際的な秩序形成への協力姿勢も示している。
さらに社会分野では、感染症対策を含む保健システム強化や、気候変動に伴う災害リスクへの対応が盛り込まれている。
衛星データを活用した防災の取り組みが紹介され、日本の貢献を歓迎するとした。
一方で、国際課題への対応も指摘された。
米国の関税政策や中国の過剰融資による「債務のわな」といった国際的課題を例に挙げ、開かれた多角的貿易体制と債務の透明性の向上が必要だと明記されている。
石破首相は会議で「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」を提唱し、インド太平洋とアフリカの連結性向上を重視した。
「自由で開かれたインド太平洋」に対する好意的言及も宣言に盛り込まれ、日本主導の地域構想とアフリカ開発の接続が打ち出された。
平和と安定の分野では民主主義と法の支配を基盤とすることが確認され、国連安保理改革に向けた協議継続が示された。
人材育成と技術連携が鍵 AI支援の広がりに期待と懸念
今回の宣言は、日本とアフリカの協力を新たな段階へ押し上げる契機となりそうだ。
石破首相は閉会式で「日本とアフリカが有する豊かな人材や技術、知恵を持ち寄り、繁栄を目指す」と述べ、人材育成や産業基盤強化を最重要課題として提示した。
AIやデジタル技術の導入はアフリカ経済の効率化や新産業の創出につながる可能性が高く、相互の利益を具体化する手段となるだろう。
一方で、AIやロボティクスの導入には高度なインフラや教育基盤が不可欠であり、整備の遅れが格差を拡大する懸念がある。
投資額の増大が、国庫に負担をかけることも懸念されるところだ。
また、債務問題や貿易摩擦といった外部要因がプロジェクトの進行に影響を及ぼす可能性も否定できない。
日本が強調する「安全で信頼できるAI」の理念を、アフリカの実情に合わせて展開できるかが問われることになるだろう。
アフリカ諸国の若年層人口を背景に、人材活用が成功すれば、世界的な成長センターとしての地位を確立できる可能性が高い。
その過程で、日本企業にとっても市場拡大や共同開発のチャンスが広がることが期待される。
次回の会議がアフリカで開催されることも、現地主導の取り組みを後押しする契機となるだろう。
今回の成果が持続的な実践につながるかどうか、国際社会の注視が続くとみられる。