SBIとスターテイル、トークン化株式取引基盤の共同開発へ 合弁会社を設立

2025年8月22日、SBIホールディングスとスターテイルグループは、トークン化株式や現実資産(RWA)を対象とした新たな取引基盤を開発するため、合弁会社を設立すると発表した。
両社はブロックチェーン技術を活用し、24時間365日稼働する次世代型の金融取引プラットフォーム構築を目指す。
SBIとスターテイル、合弁会社で次世代金融基盤構築
SBIホールディングスとスターテイルグループは8月22日、共同で新会社を立ち上げると明らかにした。
この合弁会社は、トークン化株式(※)やRWAを対象とし、ブロックチェーン上で運営される新しい取引プラットフォームの開発・提供を担う。
スターテイルはすでにソニーグループとの合弁会社を通じ、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2技術を活用した「ソニューム(Soneium)」を展開しており、その経験が今回の事業にも活かされるとみられる。
とはいえ、今発表では新会社の名称や出資比率、採用する基盤チェーンの詳細は公表されていない。
両社によれば、目指すのは「時間制限のない、24時間365日稼働する取引環境」である。
これにより、従来は数日を要していた国際送金が即時化されるほか、高額株式の分割所有によって個人投資家にも新たな投資機会が開かれる見通しだ。
さらに、トークン化株式と分散型金融(DeFi)の組み合わせによる新商品の開発も検討されている。
開発中のプラットフォームには、一般利用者でも扱いやすい口座管理機能や、機関投資家向けの高水準な資産保管サービス、リアルタイムの規制順守監視機能が搭載される予定だ。
また、近い将来にパブリックテストを開始し、段階的に詳細を発表する計画である。
※トークン化株式:株式をデジタル証券としてブロックチェーン上に記録したもの。分割所有や即時決済など従来にない特性を持つ。
SBIとスターテイルの合弁、トークン化金融の転換点
SBIとスターテイルの合弁会社設立は、日本におけるトークン化金融の実装を加速させる一手と位置づけられる。
特に24時間365日稼働する取引基盤という構想は、国際金融市場における時間的制約を取り払う可能性を秘めている。
これまで数日を要していた国際送金や株式決済が即時処理に移行すれば、資本流動性は大幅に高まり、個人投資家の参入障壁も低下すると考えられる。
一方で、課題も少なくない。
名称や出資比率、採用チェーンの詳細が未公表であることは不透明要素として残る。
さらに、規制対応やシステムの堅牢性確保は不可欠であり、社会実装には法制度の整合性や投資家保護の観点からも検証が進められるべきだといえる。
スターテイルがソニーと展開するソニュームで培った技術を活用できる点は強みだが、金融分野は娯楽や消費サービス以上に厳格な基準が求められる。
今後のテスト段階でどれだけ信頼性を示せるかが成否を左右するだろう。
プラットフォームが順調に立ち上がれば、DeFiとの組み合わせによる新しい投資商品の創出や、日本発のグローバル金融基盤への展望も開ける可能性がありそうだ。