リップルのステーブルコイン「RLUSD」、SBI VCトレードと日本展開で合意

2025年8月22日、SBIホールディングス傘下の暗号資産取引所SBI VCトレードは、米リップルラボが発行する米ドル連動型ステーブルコイン「Ripple USD(RLUSD)」を日本で発行・流通させるため、基本合意書を締結したと発表した。
SBI VCトレード、RLUSD国内発行に向け基本合意
SBI VCトレードは8月22日、米リップルラボとの間で、米ドル連動型ステーブルコイン「Ripple USD(RLUSD)」の日本における発行・流通に関する基本合意書を締結したと公表した。
RLUSDはニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の信託会社チャーターのもとで発行されるステーブルコインであり、企業向けの利用を想定し、特に国際送金の高速化やコスト削減を目的に設計されている。
RLUSDは2025年7月19日、ステーブルコイン評価機関ブルーチップ(Bluechip)から最高評価「A」を取得し、ランキングで1位となった。
また7月9日には、同コインの準備金の主要カストディアンとして大手金融機関BNYメロンが採用されることが発表されている。
こうした体制により、資産の裏付けや管理面での信頼性が強化されている。
今回の基本合意により、日本市場におけるRLUSDの正式な展開に向けた準備が進むことになる。
国際送金効率化への期待と規制適合の課題
今回の基本合意は、日本の金融市場におけるステーブルコイン活用の新たな局面を示すものだ。
国際送金分野において、即時処理や低コスト化が実現すれば、企業間取引や海外展開を行う企業にとって大きなメリットになる。
特に、従来の送金網が抱えていた高額な手数料や処理遅延といった課題を解消できる点は評価できる。
SBI VCトレードはSBIホールディングスの連結子会社であり、グループが持つ既存の金融インフラや暗号資産取引基盤と組み合わせることで、国内での流通の足掛かりを固める狙いがあるとみられる。
そのため、同社の役割はRLUSDの市場定着において重要な位置づけを担うと考えられる。
一方で、日本での本格展開には金融庁など規制当局の承認が必要であり、資金決済法や為替規制との整合性が問われる。
NYDFSの枠組みに準拠している点は強みだが、日本の法制度においても同様の透明性や管理体制が担保されるかが焦点になる。
規制対応の不確実性は、普及のスピードを左右する要因といえる。
さらに、競合環境も考慮すべきだ。既に市場ではUSDTやUSDCといった国際的ステーブルコインが広く流通しており、国内金融機関が開発する円連動型コインも存在する。
RLUSDが「企業利用」「国際送金効率化」といった強みを明確に打ち出せなければ、差別化は難しいだろう。
今後は、規制整備の進展や実際の利用実績が普及の鍵を握る。
信頼性の高いステーブルコインとして評価を得ている点を活かしつつ、日本市場に適した形で導入できるかが問われる局面に入ったといえる。
SBI VCトレード プレスリリース:https://www.sbivc.co.jp/newsview/xl6bg9_2krql