オートロックも突破できる宅配ロボ登場 ヤマト、2026年中の実用化を目指す

2025年8月22日、ヤマト運輸と韓国のロボット開発企業WATTは、大規模マンションでの自動配送ロボットの実証実験を開始したと発表した。
オートロックやエレベーターを自動で操作し、荷物を玄関先まで届ける仕組みで、2026年中の実用化を目指す。
自動配送ロボが大規模マンションで実証開始
ヤマト運輸と韓国のWATTは、都市部の大規模マンションを対象にした新しいラストマイル配送モデルの検証に乗り出した。
8月22日から千葉県浦安市の「プラウド新浦安パームコート」(550戸)で、10月23日からは東京都品川区の「プラウドタワー目黒MARC」(301戸)で実証を実施する。
対象は事前に承諾を得た住民で、指定時間帯に配送が行われる。
今回の実証では、スマート宅配ボックス「W-Station」が送り状を読み取り、配送先を自動判断してロボットに引き渡す。
さらに、対面配送用ロボット「James mW」と非対面対応の「James W」が導入され、エレベーターやセキュリティドアを自動操作して荷物を居住者に届ける。
居住者は対面での受け取りに加え、置き配も選択可能だ。
両社によると、都市部や再開発地域では1,000戸を超えるマンションが増加しており、荷物受け取りの利便性向上が課題になっている。
今回の実証では、障害物回避などの動作性能や住民満足度、運用コストの効果を検証する。
WATTは2020年設立の韓国企業で、建屋フロア間自律走行ロボットを活用した物流ソリューションの開発に強みを持つ。
宅配ロボ実用化の波及効果とリスク
自動配送ロボットの実用化は、宅配ドライバーの人手不足や過重労働問題を和らげる効果が期待できる。
特に大規模マンションでの集中的な配送業務は時間と労力を要するため、自動化による効率化は大きな価値を持つと言える。
また、24時間対応が可能になれば、居住者の受け取り利便性も格段に高まるだろう。
一方で、エレベーターやオートロックを突破するロボット導入には、セキュリティ面の課題も残る。
住民の安全やプライバシーをどう確保するかは重要な検討事項であり、実用化に向けては制度面の整備が求められる。
加えて、運用コストやメンテナンス費用が配送効率改善と釣り合うかどうかも焦点となるはずだ。
今後はヤマト以外の宅配事業者や異業種での活用も視野に入っており、物流分野全体への波及が見込まれる。
ただし、居住者の受け入れ意識や建物管理側の協力体制など、社会的合意形成が進むかどうかがカギを握ると思われる。
2026年の実用化が実現すれば、都市部の配送インフラに新たな転換点をもたらす可能性がありそうだ。