WHI HD、「COMPANY Talent Management」に生成AI分析を搭載 従業員エンゲージメント課題を可視化

2025年8月19日、株式会社WHI Holdings(WHI HD)は「COMPANY Talent Managementシリーズ」に生成AIを活用した従業員コメント自動分析機能を追加し、サービスの提供を開始したことを発表した。
日本国内の大企業向けに提供され、組織のエンゲージメント課題を迅速に把握できるようになる。
自由記述を生成AIで自動解析 改善すべき領域を明確化
WHI HDが提供する「COMPANY Talent Managementシリーズ」は、Works Human Intelligenceの統合人事システム「COMPANY」と、サイダスのタレントマネジメントシステム「CYDAS」を組み合わせた製品だ。大規模法人向けに人材データを一元管理し、活用できる点を強みとしている。
今回追加されたのは、従業員エンゲージメントサーベイ(※)で収集される自由記述コメントを生成AIで解析する機能である。
従来の単語出現頻度分析では「時間」「部署」といった抽象的なキーワードが中心となり、改善の方向性を掴みにくい課題があった。これに対し新機能では、AIがコメントを自動で「評価・報酬」「労働環境」「育成・キャリア」「福利厚生」などの具体的なトピックに分類する。
また、ポジティブ・ネガティブのニュアンスを細かく抽出し、スコアをマイナス10からプラス10まで算出する仕組みも導入された。略語や誤字脱字を含む文章、あるいは「Aは評価するが、Bに関しては不満がある」といった複雑な文でも、より正確に感情を捉えることが可能になる。
※エンゲージメントサーベイ:従業員の職務満足度や会社への貢献意欲を定量的・定性的に測定する調査。組織の課題把握や施策立案に活用される。
AIで人事業務を革新 活用拡大とリスク管理の両立
新機能の導入により、企業は従業員の声を従来より短時間で精緻に把握できるようになる。
これまで膨大なテキストデータの分析は人事担当者の大きな負担だったが、AIによる自動化で作業効率が飛躍的に高まる。特に、曖昧な不満や潜在的な課題を早期に抽出できれば、離職防止やエンゲージメント向上施策を効果的に展開できる可能性がある。
一方で、生成AIによる判定は完全ではなく、解釈のずれやバイアスの影響を排除できない点が課題となる。
ネガポジスコアに基づく評価をそのまま意思決定に直結させるのではなく、人事部門による検証や補正が不可欠だ。AIの出力を活用するには、人間による解釈との併用が前提になる。
今後は、エンゲージメントサーベイだけでなく、社内SNSや人事評価面談の記録など多様なテキストデータへの応用も視野に入る可能性がある。人材マネジメントの領域ではAI導入が一層進み、従業員体験の最適化や離職率低減につながると見込まれる。
他方で、従業員の声が「監視されている」と受け取られないよう、透明性ある運用ポリシーやデータ活用のガイドライン策定が企業に求められる。
最終的には、AIを人材マネジメントの「判断補助装置」として活かせる企業が、従業員の信頼とエンゲージメントを同時に高めることになるだろう。