オラクル、GPT-5を基幹DBとクラウドアプリに統合 業務自動化と推論力を強化

日本オラクルは2025年8月20日、Oracleが自社のデータベースやクラウドアプリにOpenAIの最新モデル「GPT-5」を統合したと発表した。高度な推論やコーディング機能をネイティブに活用でき、業務効率化や自動化が一段と加速する見込みだ。
オラクル、自社製品群にGPT-5を全面展開
今回の発表により、Oracleは「Fusion Cloud Applications」「NetSuite」「Oracle Health」を含む各種アプリケーションにGPT-5を統合した。これにより、ユーザーは複雑な業務プロセスにおいて、高度なコード生成や推論をネイティブに利用できる。
GPT-5はOpenAIが開発した最新モデルであり、コード生成・編集・デバッグに強みを持つほか、マルチステップ推論機能を備え、エージェント的な応用にも適した設計となっている。
APIを通じて複数サイズで提供され、ChatGPT Enterpriseからも利用可能だ。
Oracleは、統合によって「業務プロセスにおけるマルチステップ推論と業務オーケストレーション(※)の高度化」「コード生成、バグ修正、ドキュメント作成の加速」「ビジネスインサイトや推奨の精度と深度の向上」を掲げる。特にSQL環境からGPT-5を呼び出すことで、データ検索や分析が大幅に効率化されると説明している。
データベース担当SVPのKris Rice氏は、「Oracle Database 23ai」とGPT-5の連携により、企業は飛躍的なインサイト、イノベーション、生産性の向上を実現できると強調した。
アプリ開発担当SVPのMeeten Bhavsar氏も、Fusion Applicationsで高度な推論が可能になることで、自動化と意思決定支援が進展すると述べている。
※業務オーケストレーション:企業内の複数業務プロセスを統合的に管理・自動化する仕組み。AIとの連携で効率化や意思決定支援が可能になる。
生成AIの浸透で企業ITはどう変わるか 期待と課題の両面
GPT-5の統合により、Oracleの利用企業はコーディング効率や業務ドキュメント生成の時間を短縮でき、プロセス全体の生産性向上が見込まれる。従来は専門知識を要したタスクもAIに補助させることで、従業員はより戦略的な業務に集中できるようになる。
また、Oracleが強みを持つエンタープライズ向け基盤との統合により、既存データ資産を活かした高度なAI活用も期待できる。
クラウドとデータベースを横断することで、単なる作業効率化にとどまらず、新しいビジネスモデルの創出や顧客体験の革新に直結する潜在力も秘めている。
一方で、GPT-5は強力な生成能力を備えるが、その精度や透明性に依存しすぎると誤った推論や不完全な情報に基づく意思決定につながる恐れがある。
膨大なデータを扱う過程でのセキュリティやプライバシー管理も不可欠であり、導入企業にはガバナンス強化が求められるだろう。
将来的には、他のクラウドベンダーやアプリケーションプロバイダーも同様の動きを加速させる可能性が高い。Oracleの先行導入は市場全体に競争を呼び込み、企業がAI統合を標準機能として評価する時代を早めるだろう。