エヌビディア、中国向けに新AI半導体「B30A」開発 H20超え性能を狙う

2025年8月19日、米半導体大手エヌビディアが、中国市場向けに次世代AI半導体の開発を進めていると、ロイターが関係者からの話として報じた。現行の「H20」を上回る性能を備える見通しだが、米規制当局の承認が得られるかは不透明である。
新型「B30A」計画浮上 中国市場へ試作機投入へ
エヌビディアは最新設計「ブラックウェル(※)」を基盤に、中国専用の新型AI半導体「B30A」を準備している。シングルダイ設計を採用し、主力の「B300」が持つデュアルダイ構成より計算性能は落ちるが、中国で販売可能な「H20」を上回る水準を目指すとされる。
トランプ米大統領は先週、中国へ高性能GPU供給が行われる可能性に言及したが、エヌビディアは規制の範囲内での開発であることを強調している。
早ければ来月にも試作品を中国の顧客に送付し、評価を依頼する計画も検討しており、声明では「政府承認を条件とした商業利用目的の設計である」と説明した。
さらに関係筋によると、エヌビディアは同設計技術を用いたAI推論向けの中国専用半導体「RTX6000D」の提供も準備中である。
RTX6000Dは米規制基準値を下回る設計で、従来型GDDRメモリーを使用し、1秒間に1398ギガバイトのデータ転送能力を備える。9月には中国向けに少量の出荷を開始する予定だという。
H20は2023年の輸出規制に適合させた製品だったが、今年4月に新たに規制対象とされ、出荷停止に追い込まれた。
7月に限定的再開が認められたものの、需要を満たすには不十分であり、B30AやRTX6000Dはその穴を埋める役割を担うことになる。
※ブラックウェル:エヌビディアが2024年に発表した最新のGPU設計技術。従来世代より計算効率と省電力性を大幅に向上させた。
規制下での供給戦略 収益確保と地政学リスクの両面
エヌビディアが新製品を相次ぎ投入する背景には、中国の旺盛なAI需要がある。
巨大モデルの開発では演算能力の確保が不可欠であるため、米規制を満たす範囲でも高性能GPUが提供されれば、中国企業の依存度はむしろ高まると考えられる。
ビジネス面では、B30Aは合法的に供給可能な範囲でH20を超える性能を提供できるため、売上維持とシェア確保の切り札となるだろう。
RTX6000Dとの組み合わせは、市場からの信頼をつなぎとめる役割も果たすとみられる。
一方で、米規制当局が「抜け道的設計」と判断した場合、追加的な制裁や輸出禁止措置が科されるリスクは残る。中国への先端技術流出に対する警戒は強まっているため、承認が覆される可能性は常に存在すると考えて良いだろう。
今後は、米中の政治的駆け引きと規制当局の判断が、技術供給の持続性を左右することになると予想できる。中国市場での成長を狙うエヌビディアにとっては、収益機会と地政学リスクの双方を常に天秤にかけながら戦略を描くことが不可欠となりそうだ。