日本直販が通販から総合サービス企業へ転換 BtoB領域へも事業拡大

2025年8月18日、日本直販(東京)は総合通販事業から脱却し、エンタメやDXを軸とした総合サービス企業へ事業転換すると発表した。新ロゴやスローガンを導入し、BtoB事業にも拡大する。
日本直販、ブランド刷新で「総合サービス企業」へ転換
日本直販は従来の通販事業から脱却し、体験や金融、会員サービス、旅行、保険などを束ねた総合サービスを展開する。エンタメ性のあるコンテンツ発信や海外でのポップアップ企画、デジタル活用を強化することで、多様な接点を創出する計画である。
また、BtoC事業で培った商品開発や販促ノウハウをBtoB(※)領域にも拡大する。投資先や出資元企業、地域パートナーに対し、共同ブランド開発や販売プラットフォームの連携を提供することで、地域発のスケーラブルなモデル構築を目指す方針だ。
新ロゴは多角的な事業展開とプラットフォーム志向を表す2形式で設計され、9月1日から順次切り替える。ブランド刷新を通じて、これまでの「通販専業」から脱皮する姿勢を鮮明にした。
日本直販は長年テレビやラジオ通販を展開してきたが、経営再建の歴史を経て、現在はイメンス傘下で事業を展開している。2024年10月期の業績は売上が約53億円、最終赤字が約3.8億円と厳しいが、新戦略により成長軌道への回復を目指す。
※BtoB:企業間取引(Business to Business)の略称。企業や自治体向けに商品やサービスを提供するビジネスモデルを指す。
総合サービス化の好機とリスク BtoB展開で新収益モデルを模索
今回の事業転換は、単なる通販から脱却することで収益源を多様化できる点が大きなメリットといえる。企業や自治体とのBtoB連携により、越境ECや地域ブランド拡大も期待でき、既存顧客基盤の活用で新規事業立ち上げのハードルを下げることも可能となるだろう。
一方で、短期的な収益改善は容易ではなく、多角化に伴う投資負担の膨張や既存事業の利益率低下、リソース分散のリスクも無視できない。外部提携に依存しすぎれば、自社の競争優位が揺らぐ危険もある。
ただし、エンタメやデジタルを軸とした戦略は、SNSや配信プラットフォームを活用する現代の消費動向と合致している。これにより、企業イメージの刷新と若年層の取り込みが進めば、中長期的に収益が改善する見込みもある。
さらに、地域ブランドや中小企業との連携を通じ、日本発の商材が世界市場に進出する可能性もある。
越境ECやデジタルマーケティングの活用次第では、縮小傾向にある国内市場依存から脱し、持続的な成長基盤を築けるかもしれない。