ヴァンフォーレ甲府とAWSが共創 山梨中央銀行が未来型店舗を今秋開設

2025年8月13日、山梨中央銀行はヴァンフォーレ甲府とアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と連携し、旧・甲府駅前支店に新しい形態の店舗を今秋オープンすると発表した。日本国内の銀行店舗としては異例の取り組みとなる。
銀行・スポーツ・デジタルが融合する新店舗、甲府駅前に誕生へ
山梨中央銀行は、ヴァンフォーレ甲府やAWSと協力し、旧・甲府駅前支店を活用した新しい店舗を2025年秋に開設する。この店舗は銀行業務にとどまらず、地域住民や来訪者が楽しめる多目的空間として設計されている。
1階にはキャッシュレスの銀行窓口が設けられ、AIアバターによる受付や遠隔相談端末を通じて高度な相談が可能になる。従来型の現金業務はATMで対応し、口座開設や振り込みはアプリで行う仕組みで、利便性と効率性を重視した設計が特徴となる。
同フロアにはヴァンフォーレ甲府のショップとカフェバーが併設される。
日中はカフェ、夜はスポーツバーとして銀行の営業時間に縛られず利用者を迎え、金融機関の枠を超えた交流拠点を目指す構想である。
さらに、AWSやインテックとの協力によるデジタル技術の実証実験も展開される。
特に国内金融機関として初めて導入される等身大ホログラム「Luma」は、来店者に新しい体験を提供する試みとなる。
また、2階には多目的スペースが設けられ、金融教育セミナーやスタートアップ支援イベント、ヴァンフォーレ甲府による健康関連プログラムなどが行われる予定だ。
地域と金融をつなぐ拠点化 新店舗が描く可能性とリスク
今回の取り組みは、銀行が金融サービス提供にとどまらず、地域文化やデジタル教育まで包含する新しい拠点へ進化する試みといえる。来店者は取引目的以外でも訪れやすくなり、銀行の存在感を地域生活に広げる効果が期待される。
AWSやインテックとの連携は、デジタル分野における新しい体験を地域にもたらす契機になるだろう。特にホログラムやAI受付といった要素は、銀行の堅いイメージを刷新し、若年層やデジタルリテラシーの高い層を引き込む可能性がある。
一方で実証段階の技術導入は、利用者が十分に使いこなせなければ体験価値が薄れるうえ、過度な投資コストが課題となりかねない。さらに、銀行業務に付随する責任やセキュリティ面での懸念も残る。
とは言え、金融×スポーツ×デジタルという異業種連携は、地域銀行が持続的に競争力を保つための有効な戦略となるだろう。今回のモデルが成功すれば、地方銀行のあり方に新たな指針が示され、他地域にも波及する可能性がありそうだ。