今やブランド検索の3分の1がAI主導に SEO依存の戦略は転換点へ

2025年8月13日、米デジタルマーケティング企業BrightEdgeは、ブランド検索の約3分の1がAIエージェントによって行われていると発表した。
AIによる商品推薦や調査が急速に普及し、従来のSEO中心戦略の限界が浮き彫りとなっている。
AIが検索行動を主導 ブランド検索の構図が変化
BrightEdgeの調査によると、現在、消費者のブランド検索においては、生成AIが活発に利用されているという。
ユーザーが使用しているのは、ChatGPTやGoogle Gemini、Perplexity、Microsoft Copilot、Claudeといったサービスだ。
これらは単なる検索補助ではなく、ユーザーの代理で調査を行い、候補を提示する「エージェント」としての役割を担う。
実際、「10代向けに手頃な自転車を探す」といった複合的な指示に対しても、AIは複数のブランド情報を横断的に整理し、比較まで行う。
BrightEdgeのジム・ユーCEOは「かつてGoogleがウェブの入口になったのと同じ構図だが、今度はGoogleに加えてChatGPTや他のプレーヤーが並び立つ」と語る。
ただ、ユー氏はAI検索のリスクも認める。
AIが提示する情報はアルゴリズムの判断に依存しており、透明性や多様性、正確性の欠如という課題も存在すると指摘。
さらにAIは「プロンプトインジェクション(※)」と呼ばれる不正指示攻撃に弱い点も懸念材料に挙げた。
それでもAIを活用した調査は、レビューや掲示板を長時間読み込む従来型の検索行動を代替しつつあるとのことだ。
※プロンプトインジェクション:AIに不正な命令を仕込むことで回答内容を操作する攻撃手法。AI検索やチャットボットの透明性・信頼性を脅かす要因となっている。
SEOから「AI最適化」へ 新たな競争軸とリスク
ブランドやマーケターが直面する最大の変化は、従来のSEO一辺倒では成果を得にくくなる点である。
Google検索での上位表示を目指す戦略に代わり、AIが商品を推薦する仕組みに適合させる「AI最適化」への対応が急務となる。
この状況に対応するため、現在は「GEO(Generative Engine Optimization)」や「AIEO」と呼ばれる新たな概念が重要視されており、AIが理解しやすい形で構造化データや製品情報を整備することが必要になる。
メリットとしては、AIが幅広い情報を迅速に照合し、消費者に的確な選択肢を提示できる点が挙げられる。
企業にとっても、検索順位に左右されずにブランドが露出する可能性が高まり、新しい販路の確保につながる。
一方、情報の提示順序や基準がAIのアルゴリズムに依存するため、企業側の意図が反映されにくいことが懸念される。
透明性や信頼性が十分に確保されなければ、ユーザーが別のサービスへ流出するリスクも存在する。
今後の企業戦略は、AIに取り上げられる権威性のあるコンテンツを持続的に発信し続けることが不可欠となる。
単なるSEO施策ではなく、AIがどのように自社ブランドを提示しているかを監視・分析する姿勢が、新時代の競争優位を決めることになる。