総務省、自治体向け生成AI指針を年内策定へ 職員不足対応とリスク管理を両立

総務省が全国の自治体に対し、生成人工知能(AI)の活用指針を年内にも策定すると2025年8月16日に報道された。
深刻化する職員不足に対応し行政サービスを維持・強化する狙いで、効率化とリスク管理の両立を求めている。
自治体業務に生成AI導入を指針で後押し
総務省は、自治体における生成人工知能(AI)の利用促進を目的とした指針を年内に取りまとめる。
背景には職員不足の加速がある。多くの自治体ではベテラン職員の退職が相次ぎ、採用難も続く中で行政サービスの質を保つことが課題となっている。
指針では、業務効率化に直結する活用例を示す方針だ。
既に一部自治体では、議事録や企画書案の作成、住民向けの相談窓口対応に生成AIを取り入れている。
さらに、システム調達時の仕様書作成や許認可関連の問い合わせ対応など、専門知識を要する分野での導入が今後の焦点になるとされる。
総務省は、AIを使った文書生成に伴うリスク対策も同時に示す。
生成物に誤情報が混入する恐れや、個人情報漏洩のリスクを踏まえ、管理責任者を明確に定めることを求める。
また、住民情報などの機密性が高いデータはAIに学習させない仕組みを導入する必要性を強調している。
自治体現場のニーズとリスク管理の両立を制度的に後押しすることが狙いだ。
効率化とリスクの両面 自治体で広がるか
今回の方針は、行政サービスの持続性を守るうえで大きな転機になり得る。
生成AIは知識や経験を必要とする業務を短時間で処理できるため、人手不足に直面する自治体にとって即効性のある支援策となる可能性がある。
特に、仕様書作成や専門的な許認可業務はAIの強みを発揮しやすい領域といえる。
一方で、過度な依存には懸念も残る。誤情報の拡散は行政への信頼低下に直結しかねず、住民の個人情報保護も重要な課題だ。
総務省が求める「責任者の明確化」や「学習対象の制御」といった枠組みは、こうしたリスクへの一定の歯止めとして機能するだろう。
導入が進めば、地方自治体の現場では業務負担が軽減され、住民対応の迅速化や政策立案の精度向上につながると期待される。
その一方で、運用ルールが徹底されなければ逆に混乱を招く可能性もある。
効率化とリスク管理をいかに両立させるかが、今後の普及を左右する要素となりそうだ。