Anthropic、Claudeに「学習モード」一般公開 AIをスキル構築ツールへ転換

現地時間2025年8月15日、米AI企業Anthropicは対話型AI「Claude」に搭載する「学習モード(learning mode)」を開発者および一般ユーザーに提供開始した。
これまでは教育向け限定機能だったが、今後は誰もがAIを活用して学びながら問題解決に取り組めるようになる。
Claude、ソクラテス式でユーザーを導く新機能
Anthropicが公開した「学習モード」は、ユーザーが解答を即座に得るのではなく、AIとのやりとりを通じて思考を深め、解決手法を身につけることを狙いとする。
Claudeのドロップダウンメニューから「Learning」を選択することで有効化できる。
これまで教育機関向けに限定提供されていた機能が一般公開された格好だ。
学習モードは「ソクラテス式問答法(※)」に基づき、AIが直接的な解答を与える代わりに、質問やヒントを提示する。
ユーザーが自ら考え、段階的に正答へと到達する過程を体験できる点が特徴である。
プログラミング支援機能「Claude Code」でも、「/output-styles」コマンドを通じて「説明モード」と「学習モード」を選択可能になった。
説明モードではAIの意思決定プロセスが可視化され、学習モードでは「#TODO」と記されたコメントが表示され、5〜10行のコードをユーザーが補完するよう促される。
Anthropicによれば、こうした仕組みは「ユーザーの作業を代行する」のではなく「タスクを遂行する方法を学ばせる」ことを目的としている。
単なる効率化ツールではなく、スキル習得を支援する伴走者としてのAI像を描いている点が特徴的だ。
※ソクラテス式問答法:古代ギリシャの哲学者ソクラテスが用いた教育法。相手に直接答えを教えるのではなく、質問を重ねることで自ら考え、真理へと到達させる方法。
「答えを出す存在」から「学びの伴走者」への転換の成否は
今回の発表は、AI市場全体の潮流を示すものと考えられる。
OpenAIも今月初め、ChatGPTに「学習モード(study mode)」を導入しており、主要プレイヤーが相次いで「学習支援型AI」への転換を打ち出している。
これまでのAIは即答する解答者としての期待が強かったが、今後は「ユーザー自身のスキルを高める教育的パートナー」としての役割が拡大する可能性がある。
メリットとしては、学習プロセスを重視することで利用者が受け身にならず、能動的に問題解決スキルを磨ける点が挙げられる。
特にプログラミング学習における学習モードの導入は、プログラマを代替するだけでなく育成する手段として意義深い。
一方で、ユーザーが即時の答えを期待する場面では「不便さ」を感じるリスクもある。
答えがすぐに帰ってくるAIチャットボットにユーザーが慣れている現在、学習モードがどれだけ利用されるかは不透明だ。
今後は、各社が「どの領域においてAIを学習支援型へシフトさせるか」という点に注目が集まると考えられる。
ユーザーが自ら考える力を維持しつつ、AIを通じて成長を実感できる仕組みを設計することが、単なる人間の代替として以上の社会的価値を生めるかどうかにつながるだろう。
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