FIXERと藤田医科大、春日井市民病院に生成AI導入　退院サマリーを自動作成へ

2025年8月14日、FIXERと藤田医科大学は、愛知県春日井市民病院に生成AIシステムを提供すると発表した。
入院患者の「退院サマリー」をAIで自動作成する仕組みを導入し、医療現場の業務効率化を図る。

春日井市民病院、退院サマリー作成にAI活用

クラウドサービスを手掛けるFIXERと藤田医科大学は、合弁会社メディカルAIソリューションズを通じて、春日井市民病院と業務委託契約を締結した。
対象となるのは「退院サマリー(※)」と呼ばれる文書で、患者の入院時の所見や入院中に受けた医療内容を整理するものである。
従来は医師が一から作成しており、相当な時間を要していた。

今回導入される生成AIは、病歴や検査データをもとに文章を自動生成し、医師による確認と修正を前提に活用される。
これにより文書作成の負担を軽減し、医療従事者が診療や患者対応に割ける時間を増やすことが期待される。
藤田医科大とFIXERは、今回の業務委託を皮切りに、全国の医療機関でAIを活用した文書作成業務のDX支援を進める構えだ。

※退院サマリー：患者が退院する際に作成される医療文書で、入院中の診断、検査、治療内容を要約したもの。次の診療機関やかかりつけ医への情報共有に活用できる。

医療DXの加速に期待　業務効率化とリスクの両面

生成AIを用いた退院サマリーの自動化は、医師の事務作業を削減し、診療時間の拡大や患者サービスの質向上につながると考えられる。
特に、過重労働が課題とされる医療現場では、AI導入が働き方改革の一助になる可能性が高い。
さらに、医療データを活用した文書作成は、記録の質を一定水準に保つ効果も見込める。

一方で、生成AIの活用にはリスクも存在する。
誤った情報が出力される可能性や、個人情報の取り扱いに関するセキュリティ上の懸念は避けられない。

医療現場の信頼性を損なわないためには、人間による最終確認を徹底する仕組みが求められるだろう。
今後はAIの精度向上とともに、運用ルールやガイドラインを整備することが不可欠と言える。

春日井市民病院での事例が、そのバランスをどう取るかを示す試金石となるかもしれない。