アクセンチュア、DX人材育成の「アイデミー」を公開買付け　生成AI時代のリスキリング強化へ

2025年8月14日、アクセンチュアはDX人材育成支援を手掛けるアイデミーを完全子会社化するため、同社株式を公開買付けすると発表した。
生成AIを含む先端デジタル技術活用に不可欠なリスキリング強化を目的とした国内の動きだ。

アクセンチュア、アイデミー完全子会社化へ公開買付

アクセンチュアは、デジタルトランスフォーメーション（DX）を担う人材育成支援企業のアイデミーに対して公開買付け(※)を実施し、完全子会社化を目指す方針を明らかにした。
公開買付期間は2025年8月15日から9月29日までで、同社が発行する全ての普通株式と新株予約権を対象とする。

アイデミーは2023年6月に東京証券取引所グロース市場へ上場した企業で、企業向けにAIやデータサイエンス教育を展開してきた実績を持つ。
今回の買収にあたり、アイデミー取締役会は賛同を表明し、株主および新株予約権保有者に応募を推奨している。
さらに、同社代表取締役で筆頭株主の石川聡彦氏はアクセンチュアと応募契約を締結している。

公開買付けが成立した場合、アクセンチュアはスクイーズアウト手続きを進め、株主を自社のみとする方針だ。
応募しなかった株主や新株予約権保有者にも、応募株主と同等の金銭が交付される予定である。

※公開買付け（TOB）：企業が他社を買収・子会社化する際、株式市場外で不特定多数の株主から一定期間にわたり株式を買い集める仕組み。通常は買収意図を明示したうえで市場価格にプレミアムを付与して実施される。

生成AI時代の人材戦略　リスキリング市場に拡大の余地

今回の買収は、生成AIを含む先端デジタル技術が急速に広がる中で、企業全体の変革を担える人材を確保する狙いがあると考えられる。
アクセンチュアによるアイデミーのサービス取り込みは、クライアント企業のDX推進力を高める動きとして位置付けられる。

メリットとしては、世界的に競争が激化するAI活用市場において、日本企業の人材基盤を底上げできる点があげられる。
特に、データ分析やAI実装に長けた専門人材は需要が高まっており、教育・研修サービスを通じて安定的に供給できれば、国内産業の競争力強化につながる可能性がある。

一方で、完全子会社化によって独立性を失うことへの懸念も残る。
教育ベンチャーとして培った柔軟な発想や実験的な取り組みが、大企業の一部に組み込まれることで制約を受けるリスクは否定できない。
また、短期的には公開買付けに伴うコストが負担となるが、それを上回る効果が得られるかは今後の運営にかかっている。

今後は、アクセンチュアがアイデミーの教育ノウハウをどのようにグローバル事業に組み込み、AI時代に対応した新たなリスキリングモデルを確立するかが焦点となるだろう。