スイ関連銘柄DEEP・WAL、米グレースケール投信に初採用

2025年8月12日、米暗号資産運用大手グレースケールがSui(スイ)エコシステムの主要プロジェクトであるDeepBook(DEEP)とWalrus(WAL)を組み込んだ投資信託を発表した。
Sui関連プロジェクトが同社の信託商品に採用されるのは初となる。
グレースケール、Sui基盤の2銘柄を投資信託化
グレースケールは12日、Suiブロックチェーン上で稼働するDeepBook(DEEP)とWalrus(WAL)の2銘柄を対象とした投資信託「DeepBook Trust」と「Walrus Trust」を設立すると公表した。
対象は機関投資家および適格投資家で、Sui関連プロジェクトの信託化は今回が初の試みとなる。
DEEPはSuiの高速処理能力を活かした低遅延の注文取引基盤で、機関投資家やマーケットメイカーの需要に応える設計だ。
一方、WALは安全性と拡張性に優れた分散型データ層で、SNSやゲーム、業務アプリなど多用途での活用が見込まれる。
現状では総ロック価値(TVL)(※)や取引量で大規模プロジェクトに及ばないが、金融とデータの両面でSui経済圏を下支えする存在として注目される。
同社のプロダクト&リサーチ責任者レイハネ・シャリフ・アスカリ氏は、「DeepBookとWalrusはSuiの革新を推進し、次世代のスケーラブルなブロックチェーンアプリを支える」と述べ、将来性への強い期待を示した。
グレースケールは近年、アルトコインやAI関連などテーマ型ファンドの拡充を進めており、今回の動きはその延長線上にあると思われる。
※総ロック価値(TVL):DeFi(分散型金融)プロトコルに預けられている暗号資産の総額を示す指標。流動性や利用状況を測る重要なデータ。
Sui経済圏拡大へ弾み 投資資金流入と競争激化の可能性
今回の採用は、Sui経済圏にとって資金調達と知名度向上の両面で追い風となるだろう。
グレースケールの投信は米国を中心とした機関投資家ネットワークへのアクセスを提供し、流動性と市場参加者の拡大を促す可能性が高い。
特に、開発初期段階にあるDeFi基盤やデータレイヤーが大手運用会社の評価を得たことは、Suiのエコシステム全体に信頼性を与えると予測できる。
一方で、投資信託化による短期的な価格変動リスクや、競合ブロックチェーンとの開発者争奪戦も想定される。新規資金流入はプロジェクト成長を加速させるが、期待先行によるバリュエーションの過熱には注意が必要だ。
仮想通貨SUIは、2023年5月のメインネット開始から急成長し、2024年8月には単独の「Grayscale Sui Trust」も組成された。今回の2銘柄採用は、その発展段階をさらに一歩進める動きといえる。
Suiエコシステムは今回の採用により、新たな成長局面に入る可能性が高い。
既存の金融機関やWeb3事業者がSui基盤アプリの導入を拡大すれば、実用例が増え、ネットワーク効果の波及も期待される。
今後は、特定分野で突出した実績を築けるかが市場からの評価を左右するだろう。