LINEヤフー、全国1.7万軒対応の「Yahoo!トラベル」公式アプリ提供開始

2025年8月13日、LINEヤフー株式会社は国内旅行予約サービス「Yahoo!トラベル」の公式アプリをAndroidおよびiOS向けに提供開始した。
国内1万7000軒以上の宿泊施設に対応し、利便性や割引特典を強化して利用者層の拡大を狙う。
旅行予約の即時性と割引特典をアプリで強化
LINEヤフーは、自社が運営するインターネット旅行予約サービス「Yahoo!トラベル」の公式アプリをリリースした。対象はAndroidとiOSの両OSで、全国1万7000軒以上のホテル・旅館を網羅し、宿泊プランの比較や予約が可能だ。
今回のアプリ化により、従来のブラウザー版と同等に、閲覧履歴や利用者の好みに基づいた宿泊施設の提案をアプリ上で受けられるようになった。これにより、利用者は候補選びにかかる時間を削減でき、短時間で希望条件に合った宿を見つけられるという。
さらに、同サービスでは「5・0」の付く日(5日、10日、15日、20日、25日、30日)を含む36時間限定で宿泊料金が10%以上割引となる「GoGoセール」を実施している。
オンラインカード決済で付与される10%相当のPayPayポイントと合わせると、実質20%以上の割引を受けられる仕組みだ。
今後は予約前後のスムーズな情報提供を目的に、宿泊直前のリマインド通知や予約状況のプッシュ配信など機能拡充も予定されている。
アプリ展開がもたらす旅行市場競争の加速
今回の公式アプリ提供は、国内旅行市場の需要回復を背景とした戦略的な動きといえる。
ポストコロナでの移動制限緩和やインバウンド需要の回復が追い風となり、宿泊予約の即時性や柔軟性を求める利用者は増加している。アプリ化によって、検索・予約・決済の一連の流れをスマートフォン内で完結できる利便性は、他社との差別化要因となる可能性が高い。
また、アプリ独自のプッシュ通知や位置情報を活用したおすすめ提案など、ブラウザー版では実現しづらい機能によって、利用者の囲い込みが進むとみられる。
一方で、楽天トラベルやじゃらんといった競合も既にアプリ領域での利用者基盤を確立しているため、割引キャンペーンやポイント還元率での競争は激化が避けられないだろう。
GoGoセールとPayPayポイント還元を組み合わせた20%超の割引は、価格感度の高い層に強く訴求できると考えられる。さらに、既存のLINE・Yahoo! JAPANアカウントとの連携による利便性向上は、同社エコシステム全体の利用促進にも直結し得る。
ただし、割引依存による利益率低下や、他社の短期的な追随策による価格競争リスクも存在するはずだ。
そのため今後は、アプリ体験そのものの質を向上させ、長期的な利用動機を高められるかが持続的成長の鍵となるだろう。