ソフトバンク、コミケ106で高速通信確保 5G専用網と衛星Wi-Fi活用

2025年8月12日、ソフトバンクは東京ビッグサイトで8月16〜17日に開催される「コミックマーケット106」に合わせ、会場および周辺の通信環境を強化すると発表した。
5Gスタンドアローン方式やStarlink Businessを活用したWi-Fiなどを導入し、来場者の通信混雑を緩和する。
5G SAと衛星Wi-Fiでコミケ通信を最適化
ソフトバンクは、国内最大級の同人誌即売会「コミックマーケット106」に向けた電波対策を公表した。
高速かつ大容量通信を可能にする5Gスタンドアローン方式(※)を会場全体で利用可能にするほか、周辺基地局には3.9GHz帯のSub6対応アンテナを増設する。
これにより、混雑が予想される開場前の東側待機列エリアなどで通信容量を大幅に拡充する方針だ。
加えて、移動基地局車を配備し、新たにStarlink Businessを活用したWi-Fiを同エリアに整備することで、トラフィックの分散を図る。
ミリ波よりも広範囲に届き、障害物の影響を受けにくいSub6の特性を活用し、来場者のSNS投稿や電子決済、地図アプリ利用による負荷を軽減する狙いがある。
コミックマーケットは例年1日あたり十数万人が来場し、通信需要が一時的に急増する。
ソフトバンクは過去にも混雑状況に応じた電波対策を実施しており、今回もその一環として、地上と衛星を組み合わせた柔軟な通信インフラを提供する。
※5Gスタンドアローン方式(5G SA):4G網に依存せず5G専用ネットワークで通信を行う方式。通信速度や遅延性能の面で優れる。
大型イベント通信対策が地方や災害時活用の布石に
今回の取り組みは、特定イベントにおける通信混雑緩和という即時的効果にとどまらず、将来的な技術活用のモデルケースとなり得る。
特に、5G SAと衛星インターネットを組み合わせた運用は、地方での通信インフラ整備や災害時の臨時ネットワーク構築にも応用可能だと思われる。
メリットとしては、地上回線と衛星回線の併用による冗長性確保、限られたエリアへの迅速な通信環境提供があげられる。
一方、衛星通信は天候や設置環境の影響を受けやすく、継続的な安定運用には課題も残る。また、導入コストや運用管理の負担も無視できない。
イベント運営側にとっては、来場者満足度向上と混雑時の通信品質確保が競争力の一因となるだろう。
今回のソフトバンクの施策は、都市型大規模イベントにおける新たな通信インフラモデルとして、他の通信事業者や自治体による追随を促す可能性がありそうだ。