中高生が描く「10年後の白山市」 AI活用や空き家再生で居場所づくり提言

2025年8月12日、石川県白山市の市議会議場で「白山市子ども会議」が開かれた。
中高生24人が10年後の市の姿をテーマに、AI活用や空き家の再生、居場所づくりに関する提案を市長に提出した。
AI導入や空き家再生の意見書で住みやすい街を実現へ
白山市子ども会議に、市内の中学2年生18人と高校2年生6人が参加し、「白山市の10年後を考える」をテーマに議論した。
参加者は「過ごしやすい街づくり」「まち発展プロジェクト」「地球と私たちの生活を保護する」「居場所がほしい」の4グループに分かれ、各自の視点を意見書にまとめた。
意見書では、中高生が利用しやすいコミュニティセンターの設置や、小学校グラウンドを使用できる案が盛り込まれた。また、空き家問題への対応として、専門家を招き小中高生が意見を深める機会を設けることも提案された。
AI技術の活用を提案したグループの北星中2年の笠間莉子さんは「どうしたら街がより良くなるのかを考えた。さまざまな場面でAIが生かされている市になっていればうれしい」と話した。
意見書は市議会で可決後、田村敏和市長に手渡され、策定中の第3次総合計画や今後の市の施策の参考にされる見込みだ。
AI活用と市民共生の行方、白山市における提案の意義
地域におけるAI活用の最大の利点は、行政や地域運営における効率化と精度向上にある。
たとえば、防災シミュレーションや交通量の最適化、空き家管理などの分野では、人手不足を補いながらも迅速な対応を可能にするだろう。
中高生の視点から出された提案は、利用者目線の細やかな改善点を組み込みやすいという点で意義があると言える。地域のデジタルリテラシー向上にもつながり得るだろう。
一方で、課題も多い。
AI導入には継続的な運用コストと専門知識が必要であり、技術的依存が進めば故障や不具合発生時のリスクも大きくなる。また、データの収集・管理をめぐるプライバシー保護の問題は避けられない。
導入時の透明性と住民理解が不十分であれば、かえって地域の信頼を損ねる恐れもある。
今後10年で、地方都市のAI活用はより日常生活に溶け込む形へ進化していく可能性は高い。
ただし、この変化を定着させるには、AIを単なる便利ツールとしてではなく、地域全体の課題解決の一部として位置づける視点が不可欠であろう。
特に、提案を行った世代が将来の担い手として成長し、技術と地域課題を結びつける役割を果たすことが鍵となるだろう。
そうした循環が生まれれば、白山市はAIと人間が共生する持続可能なモデル都市の一例になり得ると考えられる。