楽天AI、Android版Rakuten Linkに対応 8月12日までに全ユーザー利用可能に

2025年8月7日、楽天グループは同社のAIツール「Rakuten AI」をAndroid版通話・メッセージアプリ「Rakuten Link」に順次導入すると発表した。
iOS版に続き、両OSでの展開が完了した。
Android版でもRakuten AIが利用可能に
楽天グループは8月7日、Android版の「Rakuten Link」にAIツール「Rakuten AI」を搭載し、同日から順次提供を開始した。
すでにiOS版「Rakuten Link」では先行して導入されているため、今回の導入により、同アプリ利用者はOSを問わずRakuten AIにアクセス可能となった。
Rakuten AIは楽天オリジナルの生成AIツールで、楽天グループのデータ基盤とエコシステムを活用した高度な応答が特長である。
たとえば、楽天市場や楽天ブックスなどの関連サービスと連携し、回答する機能を持つ。これにより、日常のショッピングや情報収集をアプリ内で完結させやすくなると見込まれる。
同社は今後、Rakuten AIを「Rakuten Link」以外のグループサービスにも段階的に搭載していく計画である。
全OS対応で利用拡大 楽天経済圏強化の一手に
今回のAndroid対応により、Rakuten AIは「Rakuten Link」の全ユーザー層にリーチできるようになる。これは楽天経済圏(※)全体の利用活性化に直結する施策とみられる。Androidは国内外で広く利用されているため、特に海外ユーザーへの波及効果も期待される。
また、AIによるパーソナライズ機能や迅速な情報提供により、ユーザーのアプリ滞在時間とエンゲージメントを高める可能性があることもメリットだろう。
楽天市場など他サービスとの連携により、購買行動の誘発やクロスセルの機会拡大にもつながる可能性もある。
一方で、個人情報の取り扱いや生成AIの精度・安全性確保といった点には課題が残りそうだ。特に、生成AIの回答が購買や契約といった意思決定に影響を与えるケースでは、誤情報や不適切な提案を防ぐ仕組みの強化が不可欠となる。
楽天はAIモデルの改善や監視体制の構築を進め、利便性と安全性を両立させる必要があるだろう。
今後、楽天AIが他のグループアプリにも展開されれば、同社のプラットフォーム間の相互送客がさらに強化され、利用者が楽天経済圏に長く留まる循環が生まれる可能性がある。Android対応は、その基盤づくりの重要な一歩と言える。
※楽天経済圏:楽天が展開するEC、金融、通信など複数のサービス群を相互に利用することでポイント還元や利便性を高めるビジネスモデル。