IVRyと電通デジタル、音声AIで営業DX加速 非対面営業の生産性を向上

2025年8月7日、対話型音声AI SaaS「アイブリー」を提供するIVRy(東京)は、電通デジタルと共同で、非対面営業における生産性向上と成果最大化を支援する「AI-DXソリューション」の提供を開始すると発表した。
営業データの高度分析とDX基盤構築により、営業力強化とノウハウ共有を促進する。
非対面営業データをAIで分析し属人化を解消
IVRyは、音声AI「アイブリー」によって電話営業の通話内容をリアルタイムで記録・要約し、営業活動を管理・効率化するSFA(Sales Force Automation)や、顧客情報を一元管理するCRM(Customer Relationship Management)と連携可能な分析基盤を提供する。
この仕組みにより、商談記録を自動生成することで、従来の手入力作業を大幅に削減し、記録の正確性向上や漏れ防止を実現する。
新サービスでは、蓄積された通話データを電通デジタルが分析し、営業成果向上のためのコンサルティングを行う。
これにより、ハイパフォーマーの営業スキルを抽出・マニュアル化し、組織全体に浸透させる仕組みを構築する。
営業現場でのPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを高速化し、属人化したノウハウを全社的な資産へと転換する狙いだ。
背景には、コロナ禍以降、企業の営業活動が対面と非対面のハイブリッド型へ移行し、両チャネルでの統合的な営業力強化が急務となっている現状がある。
従来の手作業による日報入力や対話データ管理は、生産性低下やデータ活用の遅れを招いていた。
電通デジタル副社長執行役員の小林大介氏は「営業DXの現場では、お客さまとの接点の最適化と効率化がますます求められている。本件を通じて、IVRyの先進的サービスと当社のコンサルティングノウハウを融合させることで、企業の営業活動に新たな付加価値を提供し、持続的なビジネス成長を支援していく」と述べた。
営業DXの進化が競争力の新たな源泉に
音声AIとコンサルティングを組み合わせた今回の取り組みは、非対面営業における業務効率化の新たな基盤となる可能性が高い。
通話内容を自動記録・要約し、SFAやCRMと連携させる仕組みは、営業活動の透明性を高めるだけでなく、現場の負担軽減にも直結する。
その結果、データの活用度が向上し、組織全体のパフォーマンス改善につながると考えられる。
今後は、AIによるスキル分析が人材育成の精度を押し上げ、特定社員に依存しない営業体制の構築が進むだろう。
また、商談プロセスの高度化や成約率向上に寄与するだけでなく、顧客体験の均質化にも波及する可能性がある。
一方で、データ収集・分析の信頼性や情報保護の体制整備が導入拡大の前提条件になると見られる。
こうした課題をクリアできれば、営業DXは単なる効率化施策ではなく、企業競争力の中核となるフェーズへ移行すると言える。