トランプ氏創設SNS「トゥルース・ソーシャル」でAI検索機能テスト開始 独自経済圏を加速

現地時間2025年8月6日、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)は、新たに人工知能(AI)検索機能「トゥルース・サーチAI」のベータ版テストを開始したと発表した。TMTGは、米国のトランプ大統領が創設したSNS「トゥルース・ソーシャル」を運営する企業だ。
提供元は新興AI企業パープレキシティで、まずはウェブ版から実装が始まっている。
トゥルース・ソーシャルにAI検索機能「トゥルース・サーチAI」
TMTGは、同社が運営するSNS「トゥルース・ソーシャル」にAI検索機能「トゥルース・サーチAI」を導入した。
2025年8月6日に発表された内容によれば、ベータ版としての運用が開始されており、まずはウェブブラウザ上で利用可能となっている。
この検索AIは、AIスタートアップのパープレキシティ(※)が開発したもので、近くアプリ版でも提供される見込みだ。
トランプ・メディアのCEOを務めるデビン・ヌネス氏は、「トゥルース・ソーシャルを、愛国的な経済に、より不可欠なものとするだろう」とコメントしている。
※パープレキシティ:
Perplexity社。ChatGPTやClaudeなどと並ぶAI対話モデルを開発する米国発のスタートアップで、高速な検索応答機能と情報ソースの明示が特長。
保守系SNSのAI導入が示す動向
「トゥルース・ソーシャル」にAI検索機能が導入されたことは、プラットフォームの機能拡張という観点で明確なメリットがある。
特に、Perplexity社製のAIはソース明示や高速応答といった特長を備えており、情報の信頼性と検索体験の快適さを両立できる点は注目に値する。
一方で、AI検索の結果がアルゴリズムバイアスを含む可能性がある点はリスクとなるだろう。
トゥルース・ソーシャルは保守系の政治的立場を持つユーザーが多く、意図せず情報の偏向を強める構造になりかねない。
仮にAIの出力がユーザーの政治的傾向に最適化されすぎれば、エコーチェンバー(同質性の強化)を助長し、分断を深めるおそれもある。
AIの透明性、情報源の多様性、ユーザーのフィードバックループといった設計思想が欠落していれば、独自経済圏の拡大は一過性のもので終わりかねない。
反対に、テクノロジーの政治的中立性をある程度確保しながら「保守系ユーザー向けのユーザビリティ」という路線を貫ければ、既存のSNSに対する独自のポジションを築く土台となるだろう。
「トゥルース・サーチAI」の今後の動向は、SNSとAIの融合が持つ可能性とリスクを映し出す、一つの試金石となるかもしれない。