COMPASS、AI教材「Qubena」高砂市立中学校全6校に導入 約2300人利用開始

2025年8月5日、株式会社COMPASSは、同社のAI型教材「Qubena(キュビナ)」が兵庫県高砂市の市立中学校全校に正式採用され、同年9月より約2,300人の生徒が利用を開始すると発表した。先行導入を経ての全校展開となる。
AI教材が中学校全体に拡大、2300人が対象に
COMPASSが開発するAI型教材(※)「Qubena」が、高砂市の市立中学校6校すべてに導入される。2025年9月から、中学1〜3年生の全学年で利用が始まる予定だ。
同市では2025年4月から2校で先行的にQubenaを導入していたが、運用実績を踏まえ今回の正式採用に踏み切った。対象は先行校を含む全6校、約2,300人にのぼる。
Qubenaは、生徒の解答履歴をAIが分析し、習熟度やつまずきに応じた問題を自動生成する。個別最適化された学習環境により、生徒は自分のペースで効率よく学べる点が特徴だ。高砂市教育委員会は、「生徒の理解度向上」と「教員の業務負担軽減」を実現するものとして、Qubenaを評価している。
また、同一教材を全市立中学校で活用することで、教員間の情報共有が促進され、研修や学校間の連携も効率的に進められるという。
高砂市は、蓄積された学習データを活用することで、教育の質の均一化と個別支援の高度化を目指す方針を掲げている。
Qubenaはすでに全国170以上の自治体で導入されており、導入校は小中合わせて約2,300校、利用者は100万人を超え、累計解答数は30億件を突破している。
※AI型教材:人工知能(AI)技術を活用し、生徒の学習履歴や理解度を分析して、個別に最適な教材や問題を提示する学習支援システム。従来の一斉授業とは異なり、学びの個別最適化が可能となる。
今後の展望、AIと人間の役割分担が成果を左右するか
今後、高砂市が掲げる「教育の質の均一化」と「個別支援の高度化」が実際に実現するかは、AI教材の活用と同時に、人間による指導の質をどう確保するかにかかっていると言えるだろう。
学習履歴の分析結果を教員が適切に解釈し、授業や生徒指導に還元できれば、学力格差の縮小が進むと見込まれる。また、他自治体でも同様の全校導入が加速し、全国的な教育データ基盤の構築につながる可能性もある。
しかし、導入効果を長期的に維持するには、AI教材の機能更新やカリキュラムとの整合性確保が不可欠となるはずだ。
加えて、AIが拾えない感情面や社会性の育成を、教員や地域が補完する教育モデルを確立できるかが重要になると思われる。
最終的には、AIと人間が役割を分担し、相互補完する学習環境の成熟度が、導入の成否を分ける鍵となるだろう。