Vtuberやタレントが電話で接客、「テレAI」のボイスコマースが進化 パス子会社と連携で

2025年8月5日、ボイスコマースを展開するテレは、Vtuberやタレントが電話越しに接客するECサービスを開始すると発表した。パスの連結子会社との連携により、自動音声接客に“推し”の声を活用した新たな買い物体験が実現する。
Vtuberの声で接客、電話で完結するECを展開
テレが提供する「テレAI」は、ユーザーが電話越しに自動音声の案内を受けながら注文を完了できるボイスコマース(※)サービスである。今回の新展開では、同社が運営する「テレAIカート」において、パスの連結子会社RIDOSが展開するマネジメント事務所「NoliveNolife」と連携。所属するVtuberやタレントの声を自動応答に利用できる機能を追加した。
顧客はECサイト上でNoLiveNolife所属タレントのオリジナルグッズを選択し、注文確認画面から専用ダイヤルに電話をかけることで、Vtuberやタレントが案内する音声ガイドに従い購入を進める仕組みだ。まるで“推し”と会話しながら買い物しているような没入感を演出する。
グッズ第1弾には、セルフ受肉型Vtuber「妃乃カトレア(ヒノデ カトレア)」が起用された。自身でキャラクターデザインを手がけ、活動開始から約2か月でYouTube登録者1万人を突破するなど、急成長中の存在である。
※ボイスコマース:音声操作によって商品を検索・注文できる電子商取引の仕組み。音声アシスタントや自動応答電話などを通じて買い物が可能となる。
「推しと買い物」で購買意欲を刺激 新たなEC戦略として広がる可能性も
テレAIの新サービスは、ファン心理を活用した「ボイス×EC」の先進事例として注目できる。ユーザーにとっては、推しの声に迎えられながら商品を購入できることで、単なる物販を超えた体験価値が生まれるとみられる。購買意欲の向上やリピート率の向上が期待される。
一方で、企業にとっても大きなメリットがある。声優やVtuberを活用することで、ブランドへの感情的な親近感を醸成しやすく、差別化要素として機能する。
ただし、自動生成のAI音声データの自然さや応答精度、セキュリティへの配慮といった課題も残る。今後は技術改善とともに、どのようにタレントとの関係性を長期的に維持するかが成否を分ける鍵となるだろう。
今後、他のVtuber事務所やインフルエンサーとの連携も進めば、「AI」×「推し活」×「コマース」のモデルが主流化する可能性もある。AI技術を活用したボイステックとファンビジネスの融合が、次世代EC市場の新たな潮流となるか注目だ。