バックオフィスの約8割が生成AIを活用 エイトレッド調査で業務改善の実態が明らかに

2025年8月5日、ワークフローシステムを手がけるエイトレッドは、国内のバックオフィス担当者を対象とした生成AIの活用実態調査を発表した。
文書チェックやデータ処理でAI導入が加速
今回の調査は、DX推進に関与するバックオフィス担当者110人を対象に実施されたもので、生成AIを業務に活用していると回答した割合は約8割にのぼった。
特に「文書の確認・校正・チェック」業務において69.0%が効果を実感しており、データ入力・転記(53.6%)やデータ集計・分析(52.4%)も続いた。
生成AIを活用する主な理由としては、定型的で工数のかかる業務の効率化が挙げられている。情報収集の場面でも「多くの情報収集に活用している」が40.9%、「ほぼすべての情報収集に活用」が7.3%と、約半数が積極的に生成AIツールを使っている状況である。
一方で、バックオフィス業務全体における課題としては、「特定の人にしかわからない属人的業務」(57.3%)、「デジタル化されていない業務に時間がかかる」(47.3%)が挙げられた。
今後の業務における生成AIの活用については、「大幅に拡大する予定」(20.2%)、「ある程度拡大する予定」(67.9%)と、合わせて約9割が前向きな姿勢を示している。
理想のバックオフィス像についても、「人間は戦略・創造的業務に集中」(50.9%)、「リモートワークなど柔軟な働き方が定着している」(46.4%)、「スキルアップの促進」(42.7%)といった回答が寄せられた。
一方で、「期待する結果を得るための質問の仕方が難しい」(66.7%)、「生成内容の確認に時間がかかる」(48.8%)、「ツールの使い方や研修が不足している」(32.1%)など、スキル面や運用面での壁も浮き彫りになっているようだ。
また、生成AIを導入していない理由としては、「セキュリティや機密情報漏洩のリスク」と「回答精度への不安」がいずれも44.0%と最多であった。
生成AI活用が起点となる組織変革の可能性
調査結果から、今後も生成AIの活用は拡大傾向にあることが読み取れる。
特に、バックオフィス部門においては、業務の標準化・非属人化が鍵となり、AIの導入が構造改革の起点になる可能性が高いだろう。
また、業務分担の再定義により、単なる効率化にとどまらず、バックオフィス全体の役割そのものが見直される可能性もある。「戦略と創造」に集中する体制が実現されれば、従来のサポート部門という枠を超えた新しい価値創出が期待される。
ただし、生成AIの効果を最大化するには、人間側の問いの質や判断力も同時に進化させる必要があるため、今後は、AIの「使いこなし」に関する教育やガイドラインの整備、ツール選定の最適化といった環境整備が必要になりそうだ。
生成AIの導入スピードには企業規模や体制、セキュリティ要件などによりばらつきが出るため、普及のテンポには段階的な差が生じるだろう。しかし、使い方次第では、バックオフィス改革の強力な起爆剤となりそうだ。