TOPPANグループ、AIでコンタクトセンター改革 共同応対で顧客満足とコスト最適化を両立へ

2025年8月5日、TOPPANホールディングス傘下のTOPPAN株式会社とTBネクストコミュニケーションズは、AIを活用して企業のコンタクトセンター業務を支援する新サービスを提供開始した。
スムーズな応対や運営コストの最適化、顧客体験の向上を支援するサービスである。
AIとオペレーターの共同対応で顧客満足度を最大化
TOPPANグループは、AIを活用した新たなコンタクトセンター支援サービスの提供を開始した。開発にあたっては、TOPPANの業務ナレッジと、業務システム開発力・AIソリューションを活用した問題解決力を融合させている。
本サービスの中核となるのが、TBネクストコミュニケーションズ内に新設された「Lab.機能センター」である。同センターでは、顧客からの問い合わせの一部を振り分け、AIエージェント(※)による応答や呼量削減、生産性向上につながるポイントを分析する。
その結果を活用し、既存のコンタクトセンター業務にAIを統合することで、応対品質の向上を図る。
また、コンタクトセンターの運営状況を精密に分析し、コスト削減効果を可視化することで、業務プロセス全体を最適化する。
導入後もチューニングや改善提案が継続的に実施され、効果の最大化と長期的な運用支援がサポートされるという。
本サービスはTOPPANグループが2025年5月に開始した「AI Poweredマーケティング支援」の一環に位置づけられており、グループ横断でのAI活用を推進する構想の中で重要な役割を果たすと見られる。
※AIエージェント:人工知能を活用した対話型ソフトウェアで、ユーザーからの問い合わせに自動で応答する仕組み。業務支援やカスタマーサポートなどに広く利用されている。
「AI×人」の協働がもたらす利点と課題
TOPPANグループが提供を開始したAIによるコンタクトセンター支援サービスには、複数の利点が見て取れる。
最大のメリットは、「AIと人の協働」による応対品質の底上げだろう。
従来の自動応答型AIでは難しかった柔軟な対応力を、人間のオペレーターと組み合わせることで、顧客満足度の向上が期待される。
また、分析結果をもとに運営プロセスの改善が進められることで、コスト最適化と品質維持を両立できる可能性がある。
一方で、リスクも無視できない。
AIエージェントによる一次対応は効率性を高める半面、問い合わせ内容が複雑だった場合に顧客が「たらい回し」にされたと感じる懸念がある。
また、AI導入により従来のオペレーター業務が一部自動化されることで、スタッフの役割変化や心理的負担が増す可能性も否めない。
そのため、導入後の運用設計やフォロー体制の巧拙が、成否を左右するだろう。
今後は、業種や業態を問わず、カスタマーサポートの高度化とコスト効率の両立を目指す企業が導入を進める可能性がある。
生成AIの精度向上や運用ノウハウの蓄積が進めば、より高度な対応領域への展開も視野に入るだろう。