アップル、独自AI検索エンジン開発に着手 Google依存からの脱却を模索

2025年8月3日(現地時間)、米BloombergはAppleがChatGPT対抗となる独自AI検索エンジンの開発に乗り出したと報じた。自社製品に統合することで、検索体験の根本的な刷新を目指している。
Apple、AI検索エンジン開発でGoogle依存からの自立を急ぐ
Appleは社内に「AKI(Answers, Knowledge, and Information)」チームを新設し、ChatGPTに匹敵するAI検索エンジンの開発を進めている。
この製品は、従来型のリンク表示ではなく、ユーザーの質問に対し直接的な回答を提供する「アンサーエンジン」として設計される予定だ。
Appleは長年、GoogleをiOSのデフォルト検索エンジンとして採用してきたが、米司法省が進める反トラスト訴訟の影響により、Googleとの数十億ドル規模の契約が終了する可能性がある。この事態を受け、Appleは検索分野での自立を急ぐ必要に迫られている。
Bloombergの報道によれば、Appleはこの新エンジンを「Safari」や「Spotlight」、「Siri」など、既存の自社製品群に統合することも検討しているという。
加えて、専用アプリの開発も検討しており、ユーザーはApple製品内でシームレスかつ直感的なAI検索体験を享受できるようになる見通しである。
Appleはこの件に関する公式コメントを出していないが、GoogleやMicrosoft、OpenAIといった競合他社との差別化を図り、Appleならではの価値提供を目指す戦略とみられる。
Apple検索エンジンがもたらす競争優位と市場シェア争いの壁
Appleの独自AI検索エンジンの強みは、iPhoneやMac、iPadといった自社製品群に検索機能をネイティブ統合できる点にあると考えられる。
ユーザーは慣れ親しんだインターフェースのまま、直感的で高度なAI検索体験を享受できるため、導入に対する心理的ハードルは低くなるだろう。
また、Appleは一貫してプライバシー重視の姿勢を打ち出している企業であり、本エンジンもユーザーデータを外部サービスに依存させない設計となる可能性が高い。
他社と異なる価値提案により、Appleならではの検索体験を構築できる点は競争優位性を生む要素となるだろう。
一方で、検索市場においてGoogleが90%以上のシェアを握る現状に変化をもたらすのは容易ではないと考えられる。BingがAI統合で日間アクティブユーザー数を伸ばしたものの、市場支配構造は揺らぎづらいため、Appleも市場競争より自社製品内のユーザー体験向上に注力する戦略が現実的だろう。
AppleのAI検索エンジンが成功するためには、精度や応答速度、情報の網羅性といった基本性能でユーザーの期待を上回ることが不可欠と言える。単なるGoogle代替ではなく、「Appleだからこそ実現できる」唯一無二の検索体験こそが、今回の挑戦で求められているのではないだろうか。