米XLsoft、DeepLと販売代理店契約 AI翻訳製品の日本国内展開を開始

2025年8月1日、米XLsoft Corporationは、独DeepL社と販売代理店契約を締結し、AI翻訳製品「DeepL翻訳」などを日本国内で販売開始した。
エンタープライズ企業向けに日本円決済や請求書対応の体制も整備している。
DeepL翻訳の国内販売を開始 XLsoftが代理店契約を締結
2025年8月1日、米XLsoft Corporationは、ドイツの言語AI企業DeepLと販売代理店契約を締結し、AI翻訳プラットフォーム「DeepL翻訳」および関連製品を日本国内で販売開始した。
今回の契約により、XLsoftはDeepL翻訳に加え、英文作成支援ツール「DeepL Write」、リアルタイム音声翻訳「DeepL Voice」も取り扱う。
販売は、エンタープライズ企業や販売パートナーを対象に、見積書発行や請求書払いに対応した日本円決済体制を整えたうえで提供される。
DeepL翻訳は、従来の機械翻訳とは異なり、文脈や語調、原文のニュアンスを反映した自然な訳文を生成する点が特徴だ。対応言語は日本語や英語、フランス語、中国語など30以上に及ぶ。
テキスト入力に加え、Word、PowerPoint、PDFファイルの翻訳にも対応しており、元のレイアウトを保持したままの翻訳が可能となっている。
さらに、用語集機能を活用することで、特定の訳語をあらかじめ指定でき、企業や業種ごとの用語統一にも寄与する。
法人向けの有償プラン「DeepL Pro」では、文字数制限なしの翻訳機能に加え、翻訳文の保存やAIモデルへの利用が行われない設計が採用されており、高いセキュリティ要件にも対応する。
AI翻訳の普及を後押し 業務効率化とセキュリティに期待
DeepL翻訳は、AI翻訳の導入を検討する日本企業にとって有力な選択肢となるだろう。
自然で読みやすい訳文を即座に生成できる点は、海外とのメール対応や報告書作成といった実務の効率化に寄与すると考えられる。
また、翻訳結果を保存せず、AIの学習にも使用しないDeepL Proの設計は、情報管理に厳しい業界や法務・医療・製造などの分野において安心材料になり得る。
外部クラウドへの機密情報流出リスクを懸念する企業にとって、こうした設計は導入ハードルを下げる要素となるだろう。
用語集機能を活用すれば、業界特有の専門用語や企業固有の表現にも柔軟に対応できるため、従来の人力翻訳やレビュー工程の一部を置き換える形での運用も視野に入る。
特にグローバル展開を進める企業では、翻訳の標準化とコスト削減の両立が期待される。
一方で、訳文の品質や正確性の最終確認を人手に依存せざるを得ない面も残っており、完全な自動化には限界がありそうだ。
今後は、AI翻訳と人間の校正が補完し合う形での業務フロー設計が重要になるだろう。