キャッシュレス非対応の飲食店、3人に1人が来店を敬遠 全世代で利用率6割超に

2025年7月31日、テップ・アラウンド株式会社が運営するORENDは、全国の20〜69歳の男女500人を対象に「飲食店の支払い方法に関するアンケート調査」を実施し、キャッシュレス決済の可否が来店判断に大きく影響している実態を明らかにした。
全世代でキャッシュレス利用が主流に 来店前に確認する人は56.6%
ORENDは、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(令和元年)に基づいて抽出した全国の20~69歳の男女500人を対象に、飲食店の支払い方法に関するアンケートを実施した。
「飲食店でよく使う支払い方法」では、キャッシュレス決済が64%、現金が36%という結果となり、全体の3分の2がキャッシュレスを選択していることがわかった。
なかでもスマホ決済(29.6%)とクレジットカード(28.6%)の利用率が高く、2つを合わせると約6割を占めている。
年代別でも、20代で62.1%、30代62.8%、40代63.3%、50代60.5%、60代76.2%がキャッシュレスを利用しており、全世代で6割を超えた。
従来の「高齢者は現金派」といった認識は当てはまらない傾向が示された。
「来店前にキャッシュレス決済に対応しているか確認するか」という質問に対しては、「よく確認する」が26.4%、「たまに確認する」が30.2%で、合計56.6%が事前に確認していると回答した。
さらに「キャッシュレスが使えない飲食店を避けるか」では、「必ず避ける」が5.0%、「できれば避ける」が31.4%で、合わせて36.4%が非対応店舗を避ける傾向を示した。
対応しない飲食店は機会損失も 全世代で意識変化が加速
今回の調査からは、キャッシュレス決済が「若年層だけのニーズ」ではないことが明らかとなった。
60代の利用率が最も高かった点からも、高齢層においてもスマートフォン操作やカード決済が日常化している様子がうかがえる。
特に注目すべきは、来店前に支払い手段を確認する人が半数を超え、キャッシュレス非対応の店舗を避ける人が約3人に1人にのぼるという点である。
この傾向は、飲食店にとって売上機会の損失を意味する可能性がある。
一方で、「気にしない」とする層も一定数存在することから、すべての店舗に一律の導入圧力がかかるわけではない。
ただし、キャッシュレスに対応していることが、選ばれる店舗になるための条件の一つであることは間違いないだろう。今後、外国人観光客や訪日客の増加、インバウンド需要の回復も見込まれる中で、多様な決済手段への対応は、利便性の向上だけでなく、集客力の強化にも直結すると考えられる。
飲食業界全体として、支払い環境の整備が一層求められる局面に入ったと言える。