メタ、データセンター20億ドル売却へ AIインフラ負担軽減

2025年8月1日、米メタ・プラットフォームズが7月31日に提出した四半期報告書で、総額20億4000万ドルのデータセンター関連資産を「売却目的保有」に再分類したことがわかった。ロイターが報じている。
メタ、AI対応のためデータセンター資産を売却へ
米メタ・プラットフォームズ(旧Facebook)は2025年7月31日に提出した四半期報告書で、データセンター関連の資産20億4000万ドル相当を「売却目的保有」に再分類した。対象はデータセンター用地および建設中の施設であり、今後1年以内に第三者と共同開発する形での売却が想定されている。
2025年6月30日時点での同社の「売却目的資産」は計32億6000万ドル相当だった。
これまで巨大テック企業はAI対応インフラを自社資金でまかなう傾向が強かったが、建設費や維持費の高騰を背景に、戦略の見直しが進みつつある。
メタも例外ではなく、来年にかけて拡大する見込みの設備投資を乗り切るため、金融パートナーの活用や共同開発による負担軽減を模索している。
スーザン・リー最高財務責任者(CFO)は、一部のプロジェクトにおいて多額の外部資金を導入する可能性を示唆しているという。
AIインフラ拡大の裏で浮上する資本戦略の変化
メタの今回の動きは、AI開発競争が資本の論理を変えつつあることを示唆している。インフラ支出の拡大が続く限り、ほかのビッグテック企業も類似の動きを見せる可能性は高い。特にマイクロソフトやGoogleといったクラウドサービス主体の企業は、外部との共同開発やリース型の資産管理モデルを積極的に取り入れる方向に進むだろう。
同時に、資本戦略の多様化が進む中で、「持たざるインフラ」志向が拡大することも想定される。自社で全てを抱え込まず、クラウド事業者や専業インフラ企業と連携することで、スピードと柔軟性を両立させる流れが強まるのではないか。
ただし、その一方で、生成AIの競争優位性を確保するためには、独自性の高い運用環境の確保も不可欠である。
今後は、「効率性」と「差別化」のどちらに資本を振り分けるかが企業戦略の焦点となるだろう。メタをはじめとするテック企業が、どのようなパートナーと、どの程度の権限を共有するかによって、AI時代の覇権構造が左右される局面に入ったといえる。
米メタ・プラットフォームズ 四半期報告書:
https://investor.atmeta.com/investor-news/press-release-details/2025/Meta-Reports-Second-Quarter-2025-Results/default.aspx