ヤフオク、不正行為の発生率を半減と報告 初の安全レポート公開で対策を明文化

2025年7月31日、ヤフー株式会社は、フリマサービス「Yahoo!フリマ」および「Yahoo!オークション」における不正対策の実績をまとめた「安全・安心への取り組みレポート」を初公開した。
AIと目視による監視体制を強化した結果、不正行為によるトラブル発生率が半減したことが明らかになった。
不正出品をAIと人の目で検知 フリマはトラブル率が0.3%台に
ヤフーは、「Yahoo!フリマ」と「Yahoo!オークション」に関する初の安全レポートを発表し、2023年上半期から2025年上半期にかけてのトラブル遭遇率が低下したと報告した。
とくに「Yahoo!フリマ」では、遭遇率が0.6%台から0.3%台にまで減少しており、出品時の本人確認強化やAIを活用した監視体制の成果とみられる。
不正対策においては、リスクの高い条件下での出品に対してはeKYC(※)を必須化し、過去にアカウント停止歴のあるユーザーの再登録を防ぐ仕組みも導入された。
また、AIとルールベースのアルゴリズムで不正の兆候を検知しつつ、最終的な判断は専門チームが目視で行う、AIと人間の協業体制を整備した。
これにより、24時間365日体制で出品物のチェックを可能にしている。
併せて、取引トラブル時の対応力も強化された。
商品が説明と異なるといった場合に利用できる「商品満足サポート」では、審査手続きの簡略化と適用条件の緩和により、審査通過率が92%に達し、平均1日以内の対応を実現した。
これまでの予防的対策に加えて、ヤフーは今後、ユーザー間の摩擦を和らげる対応支援にも乗り出しており、生成AIを活用したユーザーサポート機能の導入を予定している。
具体的には、取引メッセージでの言葉遣いの添削や、トラブル発生時のやり取りの仲介といった場面でAIが介入し、ユーザー同士の摩擦を軽減する機能を提供する見込みだ。
※eKYC(electronic Know Your Customer):オンライン上で本人確認を行うプロセスのこと。書類のアップロードや顔認証技術を用いて身元を確認する。
生成AIによる不正対策のメリットとリスク
ヤフーが初公開した「安全・安心への取り組みレポート」は、プラットフォーム運営者としての信頼性を高めるための一手とみられる。
不正対策の可視化は顕著な進歩であり、AIと人力による監視体制によってフリマにおけるトラブル率を0.3%台まで引き下げた実績が効果の裏付けだ。
他の企業の不正対応への参考にもなることが期待されている。
一方で、AIによる仲介には精度や公平性への懸念も残る。
判断基準が不透明であれば、新たな不満や誤解を招くリスクもあるため、運用段階では明確なルール設計と継続的な精度向上が求められる。
プラットフォーム型サービスにおいては、安全対策がブランド価値に直結する時代だ。
ヤフーの今回の取り組みは、他のフリマサービスやCtoCプラットフォームにも影響を与える可能性がある。
今後の機能展開とその実効性に注目が集まる。