旭川赤十字病院、AIで議事録生成 AWSとオープンが業務効率化を支援

2025年7月30日、オープンとアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は、旭川赤十字病院において生成AIを活用した議事録自動生成の実証実験を実施したと発表した。
RPAとAIを組み合わせ、業務削減と医療安全の両立を目指す。
生成AI×RPAでIC・カンファ議事録を効率化
オープンとAWSジャパンは、旭川赤十字病院でインフォームド・コンセント(IC)やカンファレンス議事録の自動生成に取り組む実証実験を行った。
同病院では以前からRPA(※)ツール「BizRobo!」を導入し、業務効率化を進めてきた。
しかし、医師の働き方改革や高齢化、労働人口の減少に伴う医療現場の負担増が課題となっていた。特に記録業務はスタッフの負担が大きく、迅速な省力化が求められていた。
そこで今回、より高度な医療DXの推進するため、生成AIを活用した実証実験が行われた。
実証では、ICやカンファレンスの音声を録音し、「Amazon Transcribe」で文字起こしを行ったうえで、「Amazon Bedrock」で要約と書式の整形を行った。
さらに、電子カルテの情報を自動的に引用することで、正確な議事録を作成する仕組みを構築した。
旭川赤十字病院は実験直後の感触として、議事録作成1件当たり、30〜60%程度の時間短縮が行えたことを実感したと述べている。
※RPA(Robotic Process Automation):定型業務をソフトウェアで自動化する技術。
医療DXの進展 自動化領域はさらに拡大へ
今回の実証は、医療現場での生成AIの有効性を示した点で注目できる。
議事録の品質や医療安全性を担保しつつ、現場の負担を軽減できることは、医療従事者の働き方改革にも寄与すると考えられる。
一方で、AIの導入には誤変換や文脈の誤解といったリスクも残る。
特に医療現場では、記録の正確性が治療方針に直結するため、最終的なチェック体制の整備が不可欠だ。また、データの取り扱いやセキュリティ確保も重要な課題となるだろう。
旭川赤十字病院は今後、退院サマリーや看護サマリー、診療情報提供書の自動作成など、より幅広い業務への適用を計画している。
OCRによる問診票取り込みや持参薬の鑑別なども視野に入れ、医療DXの進化を加速させる方針だ。
これにより、地域医療全体の効率化や質向上への波及効果も期待される。
他の医療機関がこの動きを追随する可能性も高く、生成AIとRPAの融合は今後の医療現場改革の鍵となり得るだろう。