CTC、AIで自律防御するDarktraceを国内提供 未知の脅威に即応

2025年7月30日、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、英Darktrace社と販売代理店契約を結び、AIによる自律防御型のネットワーク脅威検知ソリューション「Darktrace ActiveAI Security Platform」(以下、Darktrace)の国内提供を開始すると発表した。従来のルールベース型を超える柔軟な対応力が注目される。
AIが学習し自律的に防御 CTCがDarktraceの国内販売を開始
Darktraceは、企業や組織のネットワークにおけるすべての通信をリアルタイムに監視し、AIが平常時の挙動を継続的に学習する仕組みを採用している。
これにより、既知の脅威に限らず、従来のシグネチャ型(※)では対応が難しかった未知の攻撃にも即座に反応し、自律的に遮断・対処が可能になる。
導入に際して既存のネットワーク構成を変更する必要がない点も大きな特長であり、システムへの影響を最小限に抑えたスムーズな導入が可能だ。加えて、クラウドや内部不正といった多様な脅威に対応でき、セキュリティのカバー範囲を広げることができる。
CTCは、導入企業に対してDarktrace社と共同で技術支援を提供し、運用の定着を後押しする方針だ。特に製造業や物流・運輸業など、大規模なネットワーク環境を持つ企業への導入を重点的に進め、今後3年間で20億円の売上を目指す。
※シグネチャ型:既知の攻撃パターンを定義し、それに合致する通信をブロックする従来型のセキュリティ方式。新種や改変された攻撃には弱いとされる。
未知の脅威への即応体制が企業の競争力を左右する時代へ
AIが自律的に学習し防御する「Darktrace」は、サイバー脅威の多様化・巧妙化が進む現在において、企業の情報資産を守る新たなスタンダードとなる可能性がある。特にゼロデイ攻撃や内部不正といった“未知のリスク”に対して、事前のルール設定なしに対応できる点は、従来の防御モデルにない強みだ。
その一方で、AIの判断に一定の自動性を委ねるという性質上、誤検知や不適切な遮断による業務影響といったリスクも存在する。こうした課題に対して、CTCが提供する技術支援の質や運用ノウハウが、導入成功のカギを握ると言える。
企業にとってサイバー攻撃によるインシデント対応のスピードは、業務継続性や顧客信頼の維持に直結する。「常に学び、即応するAI防御」は、そのニーズを満たす革新的な選択肢となるだろう。
今後は、AI活用の範囲がセキュリティ領域にとどまらず、より広範なITガバナンスやリスクマネジメントに波及することも予想される。Darktraceのようなプラットフォームは、その第一歩として注目できる。