日本テラデータ、オンプレミス完結型AI基盤を国内発表 高セキュリティとコスト最適化に対応

2025年7月30日、日本テラデータは戦略説明会を開催し、企業内で完結可能なAI基盤「Teradata AI Factory」を発表した。
クラウドとの連携も可能なハイブリッド構成で、セキュリティ要件やコスト予測性の課題に対応する。
「Teradata AI Factory」発表 オンプレでAI活用を完結可能に
日本テラデータは2025年7月30日、報道機関向け戦略説明会を開き、オンプレミス環境で完結するAI基盤「Teradata AI Factory」の提供を発表した。
同基盤は、データパイプライン、アルゴリズム実行環境、ソフトウェアインフラなどを一体化し、企業内でセキュアかつ拡張性の高いAI実行を可能にする。
コア技術には、超並列処理やベクターストア機能を備えた「Teradata Vantage」を採用した。
非構造化データへの対応に加え、検索拡張生成(RAG)(※)の自動構築や、ドラッグ&ドロップによるAIエージェント開発などを特徴とする。
この製品はNVIDIAの「Enterprise AI Factory」の検証済み設計に基づいて構築されており、医療・金融・公共などの規制が厳しい業界への適用を想定している。
データ移動を最小限に抑え、クラウド依存によるコスト増加への懸念にも対応する。
さらにテラデータは、AI導入を支援する専門組織「AIインテグレーション&デリバリーチーム(AIID)」の新設も7月24日に発表している。
プロジェクトマネージャーやデータサイエンティスト、業種別コンサルタントらによるチームが、戦略立案から実装・運用までを支援する。
現在、同社は国内15社と本番導入に向けたプロジェクトを進行中で、2025年中に「AIドリブン経営をけん引するキャプテン企業20社の確立」を目標としている。
※ 検索拡張生成(RAG):Retrieval-Augmented Generationの略。AIが外部データを検索し、回答生成に反映させることで精度と網羅性を高める技術。
セキュリティ重視の企業に最適 導入効果と今後の可能性は
Teradata AI Factoryは、データ主権やセキュリティ要件を重視する企業にとって、有力なAI基盤の選択肢となりうる。
クラウド運用に起因するコストの不確実性や、機密データの外部移転リスクを回避しつつ、クラウドとの連携も保持できる点は、国内の規制業種や大企業にとって大きなメリットといえる。
また、プログラミング不要の開発環境やRAGモジュールの自動生成機能により、AI人材の不足に悩む企業でも、比較的スムーズな導入と活用が見込める。
さらに、AIIDによる支援体制の構築は、導入フェーズの複雑性を低減し、業種特化型の展開を加速させる要素となるだろう。
一方で、オンプレミス型の導入には初期投資やインフラ維持の負担が伴うため、全企業にとって万能とは言い切れない。
導入可否は業種、組織規模、IT資産の成熟度に応じて見極める必要がある。
今後、AI基盤の主流がクラウド単体からハイブリッド構成へと移行する中で、Teradata AI Factoryのような選択肢は、より多くの企業にとって現実的な導入モデルとなっていく可能性がある。