NTTデータ、AI活用で経営予測を高度化 SAPの最新基盤を国内初導入

2025年7月30日、NTTデータは、SAPジャパンが提供するAI・機械学習基盤「SAP Business Data Cloud」の国内初導入を発表した。
多様な業務データの統合と予測分析を可能にし、「予知経営」の高度化と生成AI活用による業務支援を目指す。
SAPのAI基盤で業務予測を強化
NTTデータは、SAPジャパンの統合型データプラットフォーム「SAP Business Data Cloud」を、2025年7月より国内で初めて本格導入したと発表した。
SAP Business Data Cloudは、AI・機械学習処理に特化したエンジン、「SAP Databricks」を搭載しており、複雑なデータ処理と予測モデル構築を支援する。
SAPのデータはもちろん、非SAP系の社内外データも統合・分析できることが特長だ。
企業環境が市場変動や地政学リスク、為替の急変動といった複雑な要因にさらされる中、経営判断のスピードと精度が重視されている。
特に、基幹業務で蓄積されたデータは重要な意思決定資源である一方、現状ではその活用には高い技術的障壁が存在する。
こうした現状に対し、NTTデータは、国内最初の導入事業者としてSAP Business Data Cloudを運用に組み込み、経営、業務における「予知経営」を推進することで対処するという。
財務・販売・オペレーションなどの複数領域を横断して統合的に分析し、予測分析の精度向上を狙う。
具体的には、SAP Business Data Cloudのシナリオ分析やナレッジの自動生成、自然な対話による意思決定支援といった機能を使用することで、より正確な経営判断を推進する。
またNTTデータは得られた知見の幅広い共有を計画しており、プロジェクトをグループ横断で推進し、社内で得た知見を汎用化して顧客企業へ展開する計画だ。
国内企業におけるデータドリブン経営の裾野を広げ、新たな価値提供を目指す。
予測AIと生成AIの融合で経営支援を拡張
NTTデータは、SAP Business Data Cloudの導入を通じて、自社のみならず他企業にも予測経営を展開し、国内全体の経営予測力の底上げを図る戦略を描いている。
NTTデータという大規模企業が先行して基盤整備を進めることは、他の大手企業にも波及的な影響を及ぼす可能性があり、国内における「予知経営」普及の先駆けとして注目される可能性がある。
一方で、複数システム間のデータ連携やAIモデルの精度確保には高度な運用設計が必要で、企業文化やITリテラシーの差が導入障壁となる可能性もあり、慎重な検討が必要だ。
AIと人間の協働がどのように経営に活かされるか、今後の展開に注目が集まる。