双日テック、高セキュリティ環境で使える生成AI基盤を提供開始 企業のAI活用を支援

2025年7月29日、双日テックイノベーション(STech I)は、neoAI、日本ヒューレット・パッカード(HPE)と共同で、オンプレミス型生成AI基盤「STech I-AI-Innovation Suite」の提供を開始した。
クラウドに依存しない高セキュリティな環境で、企業のAI導入と定着を後押しする。
クラウドに依存せず生成AIを導入 セキュリティ重視の企業に新選択肢
双日テックイノベーションは、オンプレミス型(※)の基盤パッケージ「STech I-AI-Innovation Suite」の提供を開始した。
クラウドを使用せずに社内サーバー上で生成AIを運用できるため、自社データを外部環境に出すことなく、生成AIの活用が可能になる点が最大の特長だ。
このパッケージは、neoAIが開発した国産大規模言語モデル「neoAI Chat for オンプレミス」と、HPEの高性能サーバーを事前検証済みの構成で一体提供する。
ユーザー数500人、1000人、5000人規模に応じた3種のモデルが用意され、価格は2500万円からとなる。
さらに、導入支援から運用までを一貫して支える「伴走支援サービス」や、経営層・現場向けのハンズオン研修を行う「AI教育サービス」も用意されており、ツール導入だけでなく組織全体のAI活用力の底上げも支援する。
対象は、金融・医療機関などセキュリティ要件の厳しい業種や、クラウドサービスのコスト増大に課題感のある企業、AI活用の最適化を図りたい製造・研究開発部門などとなる。
こうした支援体制や対象業種に加え、業務特化型AIを社内に定着させることを目的とした企業にとって、有力な選択肢となりそうだ。
※オンプレミス型:クラウドなど外部サービスを用いず、自社内のサーバーやネットワーク機器でシステムを構築・運用する形態。セキュリティ面での優位性がある反面、初期コストや運用負荷が課題となる。
コスト・ガバナンス・導入におけるメリット、クラウド依存回避の動きが加速する可能性
オンプレミス型AI導入には初期投資が必要となるが、クラウドの従量課金型コストを回避できるため、長期的には総保有コストの抑制が見込まれる。
また、データを社外に出さずにAIを活用できることから、情報漏洩リスクを最小限に抑えられるのも利点だ。
特に、生成AIに対する業界規制やデータガバナンスポリシーが厳格な金融・医療分野においては、クラウド上のAIサービスでは満たせない要件をこのパッケージが補完する可能性がある。
加えて、AI導入後の業務設計まで支援する伴走型の支援体制は、社内のAI浸透に悩む企業にとって心強い存在となるだろう。
一方で、自社に高度なITインフラや運用ノウハウが求められるため、すべての企業に適するとは限らない。
導入時には、費用対効果や社内リソースとの整合性を十分に検討する必要がありそうだ。
生成AIの本格導入が進む中、企業ごとに最適なAI基盤のあり方が問われている。
今回のオンプレミス型ソリューションは、クラウド中心のAI運用に対する現実的な代替案として、今後注目を集めるだろう。